「マンションの防火管理(平成24年度版)」   マンションNPOホーム 


マンション(共同住宅)の防火管理(平成24年度版)

防火管理制度の概要(消防法第8条)


  消防関係法令は年2〜3回の頻度で頻繁に改正されていますので、インターネットで防火管理に関する記事を参考にする場合、 それはいつの時点の規定に基いているのかを確認する必要があります。 本文でも最新の改正内容でご紹介するよう努力していますが,参考までに、下表に、本文において参照した各法令の改正日を記載しておきます。
  また、火災予防条例は各地方自治体が定める地方条例です。住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準等は、省令第5条の7で条例の基準が示されていますが、具体的には火災予防条例で規定されていますので、 お住まいの地方条例でご確認下さい。

 (尚、本文では消防法にならって「マンション」という用語は「共同住宅」に統一しています。)

略 語

法 令 名

本文が根拠としている最終改正日

 消 防 法 (昭和23年7月24日法律第186号)

 平成23年6月24日法律第74号

政 令

 消 防 法 施 行 令 (昭和36年3月25日政令第37号)

 平成24年2月3日政令第26号

省 令

 消 防 法 施 行 規 則 (昭和36年4月1日自治省令第6号)

 平成23年9月22日総務省令第131号

建 基 法

 建 築 基 準 法 (昭和25年5月24日法律第201号)

 平成23年12月14日法律第124号

建 基 令

 建 築 基 準 法 施 行 令  (昭和25年11月16日法律第338号)

 平成23年11月28日政令第363号

最近の共同
住宅関連省令

「対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令 及び住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令の一部を改正する省令」⇒ダウンロード

 平成22年3月30日公布総務省令第26号

総務省消防庁のホームペ−ジ「消防関係法令」に改正年度別の法令、告示、通知、通達が掲載されています。
(左図をクリックすると、「消防関係法令」が新しいウインドウで開きます。)

近年の全国出火件数と住宅火災の死者数の推移

防火管理制度のしくみ

  火災を未然に防止し、火災による被害の軽減を図るためには、すべての建物で自主的に防災管理が適切に行われる必要があります。
しかし、過去に発生した火災からも分かるように、自主的な防火管理を期待するだけでは、安全が十分に確保できない場合があります。このため、消防法第8条では、一定規模以上の建物などの管理について防火管理上必要な業務を行わせるよう義務づけています。

  消防法は、大惨事火災が発生するたびに規制が強化されてきました。2001年の東京・歌舞伎町の雑居ビル火災を受けた消防法改正で消防署員はいつでも、事前通告なしで査察ができるように改められました。
しかし、査察の実施率は1998年度の32%から年々下がり、2006年度は25%まで落ち込んでいます。背景には、慢性的な消防署員の不足があります。雑居ビルなど対象の建物が384万棟と1割も増えたのに対し、 自治体の財政難から職員数は横ばいで、消防庁が示す定員の7割強に過ぎません。ネットカフエ、カラオケボックス、さまざまな福祉施設など小規模で新たな用途の施設が次々と生まれており、 「後追い行政」、「イタチごっこ」などど言われながらも、消防法が頻繁に改正され、そのたびに規制が年々細かくなり、罰則も強化されてくるのは、止むを得ない面があります。また、既存遡及(きぞんそきゅう)も消防法の特徴のひとつです。
消防法が頻繁に改正される理由:
  @ 経験の積み重ねにより逐次その内容の強化を図る、A 建築物構造の変化、火災源の多様化、生活様式の変化などに
  応じた消防行政を行う、B 消防は技術的な要素が強いので科学技術の進歩により内容を変えていく、C 大きな火災や
  特殊な火災があると、その反省から規制を強化していく  などの理由によるものです。
既存遡及
  消防法の改正に伴って、既存の消防用設備等を現行基準が適用される消防用設備等に更新しなければならないことがあります。
  建築基準法第3条第2項(建築済み等の建築物には新たな規制を適用しない=不遡及の原則)と対照的ですね。
  既存遡及の設備には、@ 消火器及び簡易消火用具 A 避難器具 B 自動火災報知設備(令別表第1、(1)項から(4)項まで、
  (5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(17)項に掲げる防火対象物に設けるものに限る) C 漏電火災警報器 D 非常警報器具
  および非常警報設備 E 誘導灯および誘導標識 などがあります。

防火管理の体系は下記のようになっています。


管理権原者
  共同住宅の管理組合理事長は、消防法上の管理権原者になります。
消防法第8条により共同住宅の管理について権原を有する者(管理権原者つまり、管理組合理事長)は、火災、地震等から自分達の共同住宅を守るために、 防火管理者を定め、防火管理業務を行わなければなりません。

  下記は適切な防火管理を行わなかったとして、管理権原者に実刑判決が下された事例です。
平成19年1月20日兵庫県宝塚市カラオケボックス店火災で、一酸化炭素中毒で3人死亡、5人が重軽傷を負った事件で、 調理場でサラダ油の入った鍋を加熱したまま放置して火災を発生させたとして、アルバイト店員に1年6ケ月の禁固刑と、経営者(管理権原者)に対し、下記の消防法違反で4年の禁固刑が科せられました。

防火管理業務違反(法8条1項)
1 防火管理者不選任
2 消防計画未作成
3 消防訓練未実施
防災物品未使用
消防用設備設置義務違反 

(解説)

防火対象物:防火・防災管理制度を義務付けている対象のこと。人的な面での予防体制の基本をなすものとして、防火管理制度及び防災管理制度が設けられている。
権原(けんげん):ある行為をすることを正当とする法律上の原因。権限とは職能・権能の範囲のこと。
権原者(けんげんしゃ):防火対象物の管理行為を法律、契約又は慣習上当然行うべき者(一般には防火対象物の所有者、管理者、占有者が該当する。)。
   権限と区別するために口語で「けんばらしゃ」と言う場合もあります。(類)管理(くだかん)監理(さらかん)
  「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(略称:建築物衛生法)」でも、建築物の衛生的環境を確保するために特定建築物の管理権原者が遵守すべき事項を定めていますが、実務に関わるビルメンテナンス業界の人達はこの(衛生管理)権原者を、 「ごんげんしゃ」と呼ぶ人が多いようです。「けんばらしゃ」と言ったら消防関係者で、「ごんげんしゃ」と言ったらビルメン業界の人かも知れませんね。

  管理権原者は、防火管理者の選任や権限の付与などの人事管理権を有し、防火管理上必要な経費を支出し、建物や設備を管理できる権限を有している者というのが法律上の定義であり(注1)、 使用体系と管理体系が分かれている大きな商業ビルなどでは、そのビルの管理を請け負っている管理体系の代表者が管理権原者にあたります。
 防火管理者が防火管理の推進責任者であるのに対し、管理権原者は防火管理の最終責任者です。
 分譲共同住宅の場合、管理組合組織の最高責任者である理事長は、管理権原者として防火管理が管理組合における居住者の安全管理上の重要な業務の一分野であり、 地域における管理組合の社会的責任の一つとして真剣に取り組むべき問題であることを十分に認識して、その実行にあたらなければなりません。

(注1)  「管理について権原を有する者」(以下「管理権原者」という。)のうち、「管理」とは、防火対象物又はその部分における火気の使用又は取扱いその他法令に定める防火についての管理をいい、「権原」とは、ある法律行為又は事実行為を正当ならしめる法律上の原因をいう。管理権原者とは、「防火対象物又はその部分における火気の使用又は取扱いその他法令に定める防火の管理に関する事項について、法律、契約又は慣習上当然行うべき者」をいう。

(注2)  法8条の「管理について権原を有する者」(管理権原者)は、共同住宅の場合、単純ではありません。
  分譲共同住宅の場合、一般に個々の住宅の世帯主が、それぞれの住戸部分の管理権原者であると解され、共用部分等については、基本的には各管理権原者が共同で権原を有することになりますが、規約等で責任関係が明確にできる場合には、 管理組合理事長が管理権原者となります。賃貸住宅の場合、防火管理について実質上誰が権原を有しているかについてはさまざまなケースがあります。公営住宅やUR賃貸住宅の場合は、自治体(都府県市町村)や都市再生機構が管理権原者であることが多いのですが、 民間の賃貸住宅の場合には所有者(または所有会社の代表者)の場合や、所有者から委託を受けた管理会社の場合もあり、極端な場合には、管理権原者を特定することができない場合もあります。なお、同一敷地内に複数棟の共同住宅があり、その管理権原者が同一である場合には、 当該敷地内にある共同住宅を一の防火対象物ととらえて法8条を適用することとされています。(令第2条)

  複合用途防火対象物や防火管理者の業務の外部委託などで、共有部分と専有部分とで管理権原が異なるなど、管理権原が複数である防火対象物については、管理権原は複数が基本であり、管理権原ごとの防火管理者の選任を指導すべきところ、共同選任により防火管理者を選任することを促す指導を行っている事例が見受けられるとして、平成24年2月14日、防火対象物又はその部分の所有形態、管理形態、運営形態、契約形態などを総合的に判断して適切な選任を行うための例を示した通知が発令されました。
 ● 防火対象物等の「管理について権原を有する者」について(消防予第52号 平成24年2月14日公布)⇒ダウンロード

防火管理者:防火に関する講習会の課程を修了した者等一定の資格を有し、かつ、防火対象物において防火上必要な業務を適切に遂行できる地位を有する者で、管理権原者から防火上の管理を行う者として選任された者をいいます。
講習会は、甲種防火管理者が2日間、小規模防火対象物を対象とする乙種防火管理者は1日です。
受講料は無料ですが、テキスト代が4〜6千円程度かかります。防火管理講習テキストは、最新の「防火管理六法」や「防火管理」テキストのほか、自治体によっては地方条例である「火災予防条例」なども入っている場合があります。
講習会は、年2回程度行われています。実施日は市報、区報に掲載されます。
最近は小規模老人福祉施設などからの受講者が増えています。
受講者数には定員がありますので、お申込はお早めに。詳細はお住まいの自治体の消防本部火災予防課にお問い合わせ下さい。

消防法に基づく各種講習(【平成22年9月現在】)

防火管理講習 消防設備点検資格者講習 防火対象物点検資格者講習 自衛消防業務講習 防災管理講習 防災管理点検資格者講習
対応する災害 火災対応 火災・地震等対応

地震等対応

主な業務 ・消防計画(防火)の作成・消火、避難訓練の実施 ・消防用設備等の点検、作動試験 ・消防計画の作成状況、避難経路の状況等の点検 ・火災・地震等発生時の初期消火活動、通報、避難誘導 ・消防計画(防災)の作成・避難訓練の実施 ・消防計画の作成状況、家具の固定状況等の点検
主な受講・受験者 各店舗・施設の責任者(管理職)等 スプリンクラー等の消防設備の点検事業者等 ビル管理会社の社員等 防災センター要員(警備会社からの派遣含む。)等 各店舗・施設の責任者(管理職)等 ビル管理会社の社員等
資格者が必要となる建物の規模等 小規模以上の建物
[約106万]
中規模以上の建物
[約90万]
店舗等が入居する中規模以上の建物・雑居ビル
[約11万]

大規模な建物
[約9,000]

実施主体( )内は、実施機関数 都道府県知事(0)
消防長(甲種570乙種147)
登録講習機関
【(財)日本防火協会】
登録講習機関
【(財)日本消防設備安全センター】
登録講習機関
【(財)日本消防設備安全センター】
都道府県知事(0)
消防長(8)
登録講習機関
【(財)日本消防設備安全センター】
都道府県知事(1)
消防長(53)
登録講習機関
【(財)日本防火協会】
登録講習機関
【(財)日本消防設備安全センター】
現行の講習時間
※( )日数は登録講習機関における講習実施日数
(但し、平成23年4月1日以後の受講は改正省令を参照下さい)
甲種新規講習:12時間(2日)
乙種新規講習: 6時間(1日)
甲種再講習[5年毎]:3時間(半日)
※中規模以上の建築物の防火管理者のみ
新規講習:16時間(3日)
再講習[5年毎]:5時間(1日)
新規講習:18時間(4日)
再講習[5年毎]:5時間(1日)
新規講習:12時間(2日)
再講習[5年毎]:6時間(1日)
新規講習:5時間(1日)
再講習[5年毎]:3時間(半日)
※防火防災管理併催新規講習:14時間(2日半)
新規講習:8時間(2日)
再講習[5年毎]:3時間(半日)

*注:平成23年4月1日から実施される講習会の受講時間は下記のように変更になっています。
(1)防火管理講習  
   甲種新規講習:12時間(2日)−−−>10時間(2日)  
   乙種新規講習: 6時間(1日)−−−> 5時間(1日)

講習事項 講習時間 (括弧内は乙種新規講習)
防火管理の意義及び制度 2時間 (1)
火気管理 2時間 (1)
施設及び設備の維持管理 2時間 (1)
防火管理に係る訓練及び教育 2時間 (1)
防火管理に係る消防計画 2時間 (1)

  平成22年5月に開催された行政刷新会議の公益法人事業仕分けにおいて、再講習の必要性について検討し受講者負担の軽減に努めるべきであるとの指摘を受け、 必要な防火・防災性能の確保に留意しつつ、講習のカリキュラム基準の見直しを行った結果、消防法施行規則の一部を改正する省令(平成22年総務省令第109号)平成22年12月14日公布・平成23年4月1日施行により改正されたものです。 防火管理講習以外についても平成23年4月1日以後の受講については改正省令を参照してください。



防火管理業務

  管理権原者は、防火管理者に消防計画を作成させ、次のような防火管理上必要な業務を行わせなければなりません。

@ 消火訓練、通報訓練及び避難訓練の実施
     (この3つの訓練を併せたものを総合訓練といいます。)

A 消防用設備等の点検及び整備
     (を消防設備士・点検資格者などの専門資格者に行わせること)

B 火気の使用又は取扱いに関する監督
C 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
D 収容人員の管理
E その他防火管理上必要な業務

防火管理者の変更又は選任した後、速やかに消防計画を作成し、これを添付して「防火管理者選任届」を消防署に提出します。
つまり、防火管理者を選任しても、消防計画を作成しなければ、選任の届出もできません。届出を怠ると拘留処分を受けることがあります。

罰則

  たとえ火災が発生しなくても、法に従わなかった場合、管理権原者は次の処分を受けることがあります。

「防火管理者の選任の届出を怠った者」  罰金30万円以下又は拘留(消防法44条8項)
「8条3項の命令違反=防火管理者選任を命じられたのに選任せず、命令に従わなかった者」  懲役6月以下、罰金50万円以下(消防法42条1項1)懲役・罰金併科(消防法42条2項)
「8条4項の命令違反=消防計画に従った防火管理業務を行っていないとき」  懲役1年以下、又は罰金100万円以下(消防法41条1項2)

防火管理者
(1)防火管理者に求められる条件
防火管理者は、次の条件を満たしている者でなければなりません。

事業所においては、防火対象物において防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的・監督的な地位にある職位の者が選任されます。

共同住宅においては所有者、賃借人であるとを問わず、実際に防火管理の業務を遂行できる居住者から選任されるのが望ましいのですが、 管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが遠隔の地に勤務していること等の理由により、防火管理上必要な業務を適切に遂行することができないと消防署長が認めた場合は、 防火管理上必要な権限が与えられている等の一定条件を満たす者(省令2条2項2号)を防火管理者として定めることができます。(政令3条2項)

防火管理の知識、資格を有する者(甲種と乙種があります)

一般的には、防火管理者資格講習の課程を修了した者がこれにあたり、それ以外に一級建築士などのように、防火管理に関する学識経験と一定の実務経験を有すると認められる 者などがあたります。



(2)防火管理者の仕事の内容

防火管理者は、防火管理上必要な業務を行い、積極的に推進する責任者として、自衛消防組織など防火管理の業務に従事する人々を指揮、監督する立場にあります。
また、火災の発生を防止するとともに、万一、火災が発生した場合には、その被害を最小限にとどめるための万全の対策を講じておく責務を負っています。
具体的には、消防計画を作成し、その内容を消防長(消防署長)に届け出るほか、収容人員の管理に至るまで、数多くの業務を誠実に責任をもって行うことが求められています。具体的には(防火管理業務)を参照してください。

防火対象物の区分によって適用制度が変わります。

  共同住宅でも、居住人員や、単棟か団地か、店舗を有する複合用途か、その店舗の用途は何か、さらに31mを超える高層建築物か などによって、適用制度は変わります。
次のページのフローチャートで、ご自分の共同住宅が、特定防火対象物か非特定防火対象物か、甲種か乙種か、共同防火管理制度が適用される防火対象物か否か、さらに、 消防設備の定期点検の義務がある防火対象物か否か、などをチェックすることができます。

(解説)
最近の法改正によって、防火管理者のみならず、防災管理者、統括防火管理者などを選任しなければならない事例も出てきています。消防法におけるご自分の「共同住宅の位置づけ」と、それによって「法令上求められる義務は何か」を次頁以降で確認して下さい。

(H21年度版)平成21年01月14日掲載
(H21年度版)平成21年11月27日改訂
(H22年度版)平成22年04月05日改訂
(H23年度版)平成23年02月24日改訂
(H24年度版)平成24年05月06日改訂


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