法令上求められる義務
1.防火対象物とは 防火対象物とは、建築物をはじめ、車両や船舶その他の工作物及び山林など火災予防の対象となるすべてのものですが、その用途によって、消防法施行令別表第1(下表参照)に区分されています。 防火管理の実施や消防用設備等の設置に関する基準は、この用途区分に応じて定められています。 2.法の適用を受ける防火対象物か? 防火管理が義務付けられる防火対象物は、消防法第8条第1項に、学校、病院、工場などの「多数のものが出入りし、勤務し、または居住する防火対象物で政令で定めるもの」と定められています。 「防火対象物で政令で定めるもの」とは、消防法施行令別表第1に掲げる防火対象物(同表(16の3)項及び(18)項〜(20)項に掲げるものを除く。)において火災の発生危険や火災が発生した場合の人命危険などを考慮し、 その用途区分に応じて特定防火対象物(16の3)項を除く。)で収容人員が10人以上のもの、・30人以上のものと、非特定防火対象物((16)(項〜20)項を除く。)で収容人員が50人以上のものの 防火対象物に分けて、次の通り指定されています。 なお、ここでいう「収容人員」とは、その防火対象物に出入りし、勤務し、又は居住する者の数をいい、その算定方法は消防法施行規則第1条の3に定められています。 消防法施行令別表第1(5)項ロの防火対象物である共同住宅の収容人員算定方法は、「居住者の数により算定する」となっています。
3.複合用途の共同住宅における防火管理の実施単位 複合用途防火対象物とは、令別表第1の(1)項から(15)項までの防火対象物の用途のいずれかのうちの、2つ以上の異なる用途がある防火対象物をいい、令別表第1の(16)項イ、(16)項ロに分類されています。 防火管理の義務があるかないかの判断は、各々の事業所、テナント、住居ごとではなく、防火対象物全体の用途と全体の収容人員で判断しなければなりません。一つの建物の中に、複数の事業所、テナント、住居が入っている場合、火災の危険は一つの事業所やテナント、住居にとどまらず、建物全体に及びます。 つまり、防火管理の実施単位は、その防火対象物が全体として防火管理が義務付けられている防火対象物であれば、たとえ個々の事業所、テナント、住居ごとの収容人員が少なくても、 そこに入っているすべての事業所、テナント、住居の管理権原者に防火管理が義務付けられることになります。そして、複数の管理権原者が共同で防火管理にあたらなければなりません。これを共同防火管理といいます。(詳細は「共同防火管理制度」参照) 複合用途防火対象物にならない例 防火対象物に2つ以上の異なる用途があっても、それが主たる用途に従属している場合には複合用途防火対象物にはなりません。 たとえば劇場は(1)項イに属していますが、この劇場に付属している喫茶は令別表第1の(3)項、売店は(4)項に属しています。 この場合、@ 主たる用途の部分と、管理権原者が同一、A 利用者が同一あるいは密接な関係にある B 利用時間がほぼ同一 の3つの条件を満たす場合には、これらは主たる用途の部分に従属しているとされ、複合用途対象物にはなりません。(令1条の2第2項) 従属の規定以外にも面積による判断基準があります。 主たる用途に供される部分の床面積(廊下、階段、便所等共用部分は床面積に応じて按分する)が全体の90%以上で、かつ、主たる用途以外の部分の床面積が300m2未満の場合は複合用途防火対象物にはなりません。つまり、事務所ビルにレストランが入居した場合、レストランの床面積が300m2以下で、事務所の面積は全体の90%以上の2つの条件を満たした場合には、複合用途防火対象物にはなりません。(但し、共用部分の面積を事務所とレストランの専用部分の床面積に応じて按分した面積をそれぞれ事務所とレストランの床面積に加算して計算します。) 一般住宅と店舗が存在する場合の例 (1) 一般住宅の床面積 > 店舗の床面積 @店舗部分の床面積の合計が50m2未満の場合は複合用途防火対象物にはなりません。一般住宅になります。 A店舗部分の床面積の合計が50m2以上の場合は複合用途防火対象物になります。 (2) 一般住宅の床面積 < 店舗の床面積 ---->店舗用途の防火対象物になります。 (3) 一般住宅の床面積 ≒ 店舗の床面積 ---->複合用途防火対象物になります。 4.団地における防火管理の実施単位 同一の敷地内に複数の防火対象物があり、同一の管理権原者の下に相互に関連している場合、統一的な防火管理が必要となります。団地のように、同一の敷地内に複数の棟がある場合、どこの棟から火災が発生しても、消火、通報、避難などの対応は敷地全体として考えなければならないからです。 このため、同一敷地内に存する同一管理権原者の防火対象物については、収容人員をすべて合算して防火管理義務の有無を判断することとされています。 次頁 「防火管理者の資格」
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