管理組合会計 目次 > 【前頁】 8.1.5 処分を受けた業者一覧  > 8.2 相次ぐ着服と横領犯罪 > 【次頁】 8.3 巧妙化する犯罪の手口

8.2 相次ぐ着服と横領犯罪

国交省ネガティブ情報では横領などの事件情報は掲載されません。
  その犯罪情報を下記に示しました。

1.国交省ネガティブ情報では公表されない犯罪情報

1.大阪ガスコミュニティライフ(株)・平成26年4月14日 1回目の業務停止

元管理員が平成15年(2003年)3月から平成21年(2009年)11月の間に管理費1000万円を着服していたことが発覚し、 平成22年(2010年) 国交省から行政処分(是正指示処分)を受けていた。 更に、30代の男性社員(フロント)が平成22年(2010年)7月から平成25年(2013年)9月の間に マンションの管理組合費約6800万円を着服していたことが平成25年(2013年)3月に発覚。 平成26年4月14日、国交省から業務停止処分を受けた。

2.大阪ガスコミュニティライフ(株)・平成27年4月14日 2回目の業務停止

● 同社の複数の従業員がマンション管理費を横領 被害は計2億300万円
(1) 50代の元管理員は、8年間に計約2億円を着服していた。
(2) 60代の元管理員は、約300万円を着服していた。
いずれも、入居者から管理費として預かった現金を口座に入れずに着服していたもので、会計書類を偽造したり理事会に「未入金」として 報告していた。

(注)大阪ガスコミュニティライフ(株)の2回目の行政処分による業務停止期間は平成27年4月29日〜6月12日ですが、 業務停止明け5ケ月後の平成27年11月12日、伊藤忠アーバンコミュニティ(東京都中央区)による同社の買収が発表され、 伊藤忠アーバンコミュニティは、平成27年(2015年)12月10日、大阪ガスコミュニティライフ株式会社の全株式取得手続きを完了し、 伊藤忠アーバンコミュニティのグループ会社として、大阪ガスコミュニティライフ株式会社の社名を「IUCコミュニティライフ株式会社」(本社・大阪市中央区)へ変更した。

伊藤忠アーバンコミュニティはマンション管理業協会の理事に名を連ねている管理会社で、 伊藤忠アーバンコミュニティも管理員が横領着服して平成24年8月24日に改善措置指示処分を受けている。 この買収により、伊藤忠アーバンコミュニティグループにおける西日本エリア内のマンション管理戸数は313棟、3万2千戸とビル・施設管理195棟となり、 グループ会社全体でマンション管理戸数は4割増の約11万戸、ビル・施設管理450棟となった。

3.東京・無届の管理業者、マンション管理費を横領 被害は約2億1千万円

警視庁保安課は平成26年10月20日、東京都奥多摩町川野、ビル管理会社「ライフトラスト」社長を横領容疑で逮捕、法人としての同社をマンション管理適正化法違反容疑で書類送検した。 (注:当然ながら無届の管理業者に行政処分の権限は及ばない。)

「ライフトラスト」社は平成7年以降、都内のマンション5棟の管理を受託。平成13年にマンション管理適正化法が施行されてマンション管理業の登録が必要となった後も無登録のまま管理を続け、 3棟の管理組合から管理費・修繕積立金など約2億1千万円を横領していた。
<横領発覚の経緯>
平成25年5月、容疑者が管理組合に提出した口座の残高証明書が偽造されていたのを組合員が発見。 3,500万円あるはずの口座に100円しかないことを確認し、被害が発覚した。

4.札幌・元社員、修繕工事の架空発注でマンション管理費を横領 被害は約1億8千万円

平成27年3月9日付け、「北海道ベニーエステート(株)(札幌市中央区)の組合向け文書
「弊社元社員による着服事件に関するお詫びとお知らせ」より

「弊社元社員は平成11年〜平成27年の16年間に、自分が管理を担当していた13組合の管理費や修繕積立金など計約1億8千万円を着服しました。 弊社は被害額を補填しご返納させていただくことをお約束しており、既に対象管理組合様のご了解の下、順次ご返納しております。」 以上

40代元社員は修繕工事を発注したように装って領収書を偽造するなどの不正な経理処理を繰り返し、各組合の管理費や修繕積立金など計約1億8千万円を着服した。元社員は遊興費に使ったと話している。
同社は計236組合から管理を受託。元社員は28管理組合を一人で担当しており、永年、不正が発覚しなかった。

(注)事件が公になり、同社が上記の文書を公表した1年2ケ月後の平成28年5月23日付けで改善措置指示の行政処分がようやく公表された。何で??

処分の翌年、平成29年(2017年)4月、北海道ベニーエステート(株)は、三菱地所コミュニティ(株)に吸収合併された。 令和4年(2022年)4月27日、三菱地所コミュニティ(株)は、社員の横領着服で処分を受けた。(三菱地所コミュニティ(株)は下記の事件会社も合併している。)

5.愛知・元社員、12組合の預金を不正に引き出して着服 被害額は8,400万円

平成27年5月25日付け、「三菱地所丸紅住宅サービス株式会社の管理組合向け文書」より

関係者各位
弊社元社員によるマンション管理組合財産着服に関するお知らせとお詫び
この度、弊社が愛知県下において管理業務を受託しております複数のマンションにおいて、弊社元社員が管理組合様の金員を着服していたことが発覚いたしました。ご迷惑をおかけしております管理組合様に深くお詫び申し上げるとともに、このような事態を招いたことを深く反省しております。
弊社といたしましては、事件の全容解明と管理組合様の被害の回復、さらには再発防止に全力で取り組んでまいります。


1. 事件の概要
元社員が管理組合様の預金を不正な手段により引き出し、これらの発覚を防ぐため管理組合会計書類を改ざんしていました。
社内調査により判明したところでは、対象管理組合は12組合、被害額は約8,400万円となります。
2. 弊社の対応
対象管理組合様には、発覚後直ちにご報告の上被害の調査を進め、判明した被害額を弊社が補填しご返納させていただくことをお約束しており、既に管理組合様のご了解の下、順次ご返納しております。 元社員については、上記行為が明らかになったため、本年4月24日に懲戒解雇いたしました。 さらに、刑事告訴を行う予定です。以上

(注)事件が公になり、同社が上記の文書を公表した7ケ月後の平成27年(2015年)12月21日付けで改善措置指示の行政処分が公表された。

 平成28年(2016年)1月12日、三菱地所コミュニティ株式会社は三菱地所丸紅住宅サービス株式会社を平成28年4月1日をもって吸収合併することを発表、 三菱地所丸紅住宅サービス株式会社は合併の平成28年(2016年)4月1日をもって消滅する。三菱地所コミュニティ株式会社の管理受託戸数は約30万戸となる。

6.長野・不動産管理会社の代表取締役社長が横領 被害額は2億7,500万円

平成28年11月9日 軽井沢署と長野県警捜査2課は 軽井沢町の不動産管理会社「オナーズヒル軽井沢」の代表取締役社長(東京都新宿区)を業務上横領で逮捕した。
平成22年4月、同社が現金の出納や管理などの業務委託を受けていた同町内の別荘地の管理組合名義の国債を無断で売却し、 1億円を横領した疑い。
関係者が平成28年9月に刑事告訴し、長野県警が捜査していた。
更に平成28年11月30日、1億7,500万円の横領容疑で再逮捕した。


 上記以前のマンション修繕積立金の管理会社の横領は、 平成15年(2003年)〜平成20年(2008年)の5年間の国土交通省の把握分だけで127物件、 被害総額は約12億円にのぼっていた。下記はその一部


7.和泉創建(東京)の社長らが26の管理組合の口座から計1億5千万円を横領後、倒産

平成16年(2004年)夏、東京都品川区のマンションの管理組合の理事長の妻は、 管理会社の担当者から「間違えて管理組合の口座に入金してしまったので、払い戻します」といって、 差し出された払い戻し請求書には「¥1788」と記されていた。妻は疑うことなく理事長印を押した。

ところが、金額の前の「¥」は、専用の消しゴムで消せるボールペンで記入されていた。 和泉創建(東京)の社長らは、「¥」を消して金額の前に「900」と書き込み、 組合の口座から900万円余の修繕積立金を引き出した。

こうした手口で26の管理組合の口座から計1億5千万円が会社の運転資金に消え、 同社は平成17年(2005年)に倒産した。

8.東洋ビル管理(東京)は50物件で計約1億8千万円を横領後、倒産

首都圏で70物件を管理していた東洋ビル管理(東京)は平成15年(2003年)に倒産後、 50物件で計約1億8千万円が会社の運転資金に使い込まれていたことが発覚した。 管理会社を信頼して、白紙の払い戻し請求書に組合の印鑑を押してあらかじめ渡したり、 印鑑を預けたりしていた管理組合もあった。

9.シーピー(石川県)は14物件で計約5億円を横領後、倒産

シーピー(石川県)は、金沢市や同県野々市町の14の管理組合から、 平成15年(2003年)〜平成19年(2007年)に計約5億円を200回以上にわたって着服。 横領を隠すため、組合口座の残高証明書を偽造していた。

10.太平ビルサービス(長崎市)の元管理員が1億8千万円を着服

長崎市の180戸のマンションで太平ビルサービス(長崎市)の元管理員が印鑑を偽造し、 4年間にわたり管理組合口座から1億8千万円を引き出し着服していたことが平成20(2008年)年7月、発覚した。

11.大京アステージ沖縄支店の元社員、19の管理組合から計8千万円を着服

大京アステージ沖縄支店の元社員が8年にわたって口座の残高証明書を偽造し、 19の管理組合から計8千万円を着服していたことが平成20年(2008年)3月、発覚した。

2.管理業者以外の経済犯罪

1.千葉・組合の会計業務を個人契約していた女が約2億1千万円着服

昭和61年(1986年)4月ごろから千葉市内の管理会社に勤務していたパートの女は 平成3年(1991年)ごろから2つの管理組合の通帳の管理や経理事務を担当していた。

平成21年(2009年)3月に管理会社を退職した後も同管理組合と個人契約を結び、 平成25年(2013年)4月の臨時会計監査で着服が判明するまで 管理組合の管理費や修繕費など、計約2億1千万円を着服していた。
女はマンションの2つの管理組合から損害賠償請求を起こされ、 千葉地裁から約2億1千万円の支払い命令を受けている。

その後、千葉県警捜査2課と千葉西署は業務上横領の疑いで女(71)を逮捕した。

2.新潟・リゾートマンションの前理事長が16年間に約11億7800万円を着服

平成26年11月、新潟県南魚沼市の大型リゾートマンション(576戸)の管理組合前理事長(68)が約16年間にわたり、 組合の管理費など総額約11億7800万円を着服していたことが判明。

前理事長は公認会計士で、平成11年(1999年)から理事長を務めていたが、 平成26年(2014年)11月、自ら組合に「個人的な投資に充てた」と着服を打ち明けて判明した。

組合は時効前の約4億円分について、業務上横領容疑で警視庁に告訴状を提出した。

3.大阪・組合元理事長が管理費約870万円を着服

平成27年9月18日、大阪府警松原署はマンション管理費870万円を着服したとして 業務上横領容疑で管理組合の元理事長(50)を逮捕した。 元理事長は「借金の返済などにあてた」と容疑を認めている。 逮捕容疑は、平成26年12月下旬〜平成27年1月上旬、当時理事長を務めていた大阪府松原市内のマンション管理組合の銀行口座から、 現金計約870万円を引き出し、着服したとしている。 組合の口座はマンション管理会社が委託管理していたが、容疑者はこの口座を無断で解約。別の口座に計約1900万円全額を移し替えていた。 口座の解約に気づいた管理会社から連絡を受けた組合が6月、同署に告訴していた。

4.広島・組合元理事長が管理費約1,300万円を着服

平成27年、広島中央署はマンション管理費1,300万円を着服したとして 業務上横領容疑で管理組合の元理事長(66)を逮捕した。 元理事長は「着服した金は当時営んでいた不動産業の運転資金に使った」と容疑を認めている。 逮捕容疑は、居住するマンションの管理組合の理事長を務めていた平成23年7月〜26年3月、組合の預金口座から58回にわたり1,300万円余りを引き出した疑い。

組合の理事会を開かず、通帳も見せなかったため、別の理事が同署に相談して発覚した。 同容疑者は既に、マンションの損害保険の解約金をめぐる詐欺罪などで起訴されている。

5.北九州・元会計が管理費等79万円を着服、業務上横領容疑で逮捕

平成28年2月23日、福岡県警八幡西署は北九州市八幡西区のマンション管理組合の元会計担当理事が 平成21年3月23日に同組合の普通預金口座から現金79万円を引き出して横領したとして業務上横領容疑で逮捕した。

6.新潟・組合元理事長と元会計が管理費等2,230万円を着服したとして管理組合が提訴

平成28年10月11日付けで新潟市江南区のマンション管理組合は、 管理費や修繕積立金の銀行口座から2005年から15年間にわたり約2,230万円を着服したとして 元理事長と元会計担当に対し損害賠償を求める訴えを新潟地裁に提訴した。

平成27年(2015年)12月10日掲載
平成28年(2016年)12月14日追補