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区分所有法の改正履歴 (T)

まえがき
 法律は既存の法秩序を変える目的で改正されますが、他の法律の改正に伴い改正されることもあります。
区分所有法の昭和58年と平成14年の改正目的は前者ですが、平成14年以降の6回の改正は後者によるものです。

 1990年代以降、市場経済のボーダーレス化・グローバル化により戦後社会システムが崩壊し、金融ビッグバンに突入、 1899年(明治32年)制定の商法が2005年(平成17年)に会社法に全面改正され、 それらの社会制度の変革の中で、区分所有法の管理組合法人制度も大きな変革を迫られ、その後も頻繁に改正されていきます。

○1. 改正履歴(T)目次
 1.法令改正の一般的事項
 2.区分所有法の改正履歴(沿革)
 3.平成23年改正の新旧対照条文
 4.平成16年〜平成20年新旧対照条文
 5.平成14年改正の目的と要点
 6.平成14年改正の新旧対照条文
 7.平成14年改正の背景

○2. 改正履歴(U)目次
 昭和58年改正法の新旧対照条文

○3. 「組合文書の電子化の注意点」

  (新しいウインドウで開きます。)
○4. 区分所有法(平成23年改正)全文


「区分所有法」
「一棟の建物を区分してその各部分ごとに所有権の目的とする場合におけるその所有関係を定めるとともに、 そのような建物及びその敷地等の共同管理について定めた法律」(法務省民事局参事官室編「新しいマンション法」)

1:法令改正の一般的事項

 法は社会生活の規範であり、人の社会生活は、法によって規律されています。
新しい法令が制定され、又は既存の法令が改廃されると、多かれ少なかれ、法の体系に変更が加えられることになり、 そのことが、人の社会生活に影響を及ぼすことになります。
法令の制定・改正は、既存の法秩序をある程度破壊して新しい法秩序を形成することになります。

法令の改正には、既存法令で規定している法秩序を新しいものに改正する場合と、他法令の改正に伴って関係する当該法令が改正される場合の二通りの改正があります。

法令の施行時期、経過規定、改正等に関する事項は当該法令の本体を為す部分(これを「本則」という)の後に置かれる附則に書かれています。 附則の条名は附則だけで新たに起こすこととされています。(古い法令では本則からの通し条名になっているものがあります。) 本則の条名との混同を避けるため、「附則第○条」と表現します。

法令にはその法令がいつから施行されるかを定めた施行期日に関する規定を、その附則に置いていました。
施行期日に関する定めを置かない唯一の例外は、法律の施行期日を定める政令だけでしたが、「法の適用に関する通則法」(平成18年6月21日法78)第2条で、 「法律は(法で施行期日を定めない場合は)公布の日から起算して20日を経過した日から施行する」と規定されましたので、 この法律が施行された平成19年1月1日以後、その附則に施行期日を置かない場合もあります。

わが国においては、従来から、既存の法令の一部を改正する法令は、それ自体独立した法令ですが、それが施行されたときには、 一部改正法令の本則で規定している元の法令を改正する具体的内容は、元の法令に溶け込んでしまい、附則の中に改正履歴だけが残るという扱いになっています。

区分所有法の附則にも改正履歴が置かれていますが、改正のもとになった法令の名称は書かれていません。
参考までに改正のもとになった法令の名称と共に区分所有法の改正履歴(沿革)を下記に示しました。
太字で改正と示したのが区分所有法自体の改正を目的としたもので、昭和58年5月と平成14年12月の2回あります。
それ以外は他法令の改正に伴って改正されたものです。

制定時の区分所有法とその後の2回の改正区分所有法を区別して、
昭和37年 4月制定法を「旧区分所有法」
昭和58年 5月改正法を「新区分所有法」
平成14年12月改正法を「改正区分所有法」 と呼ぶ場合もあります。
 ※ 平成14年改正法が出るまでは、昭和58年改正法を「改正区分所有法」と呼んでいました。

制定時の民法の所有権を中心とした規定から、昭和58年改正で管理・運営に重点が移り、平成14年改正以降は、 修繕・建替え・除却など行政の統制と関与に係る規定が増加し、近年は行政法関連の改正が多くなっています。

2 区分所有法の改正履歴(沿革)

    建物の区分所有等に関する法律・履歴
制定

昭和37年4月4日法律第69号
〔通称: 区分所有法, マンション法, 建物区分所有法〕
〔分類: 民事法/民法〕

改正

昭和58年5月21日法律第51号〔建物の区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律一条による改正〕

改正

昭和63年12月30日号外法律第108号〔消費税法附則五九条による改正〕

改正

平成14年7月3日号外法律第79号〔法人税法等の一部を改正する法律附則四七条による改正〕

改正

平成14年12月11日号外法律第140号〔建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律一条による改正〕

改正

平成16年6月2日号外法律第76号〔破産法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律七五条による改正〕

改正

平成16年6月18日号外法律第124号〔不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律三九条による改正〕

改正

平成17年7月26日号外法律第87号〔会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律一三四条による改正〕

改正

平成18年6月2日号外法律第50号〔一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律二三四条による改正〕

改正

平成20年3月31日号外法律第9号〔国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律附則二条による改正〕

改正

平成20年4月30日号外法律第23号〔所得税法等の一部を改正する法律附則一〇四条による改正〕

改正

平成23年5月25日号外法律第53号〔非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律八四条による改正〕

改正

平成23年6月24日号外法律第74号〔情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律附則三五条による改正〕

3 平成23年6月及び平成23年5月改正法の新旧対照条文

(1)平成23年6月24日改正法

平成23年6月24日「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」が公布され、 コンピュータ・ウイルスに関する罪が新設され、同年7月14日から施行されました。この法律による被改正法令は405本にのぼり、区分所有法もそのうちの一つです。

(一般社団・財団法人法等整備法の一部改正)
附則 第三十五条 一般社団・財団法人法等整備法の一部を次のように改正する。
第二項及び第三項を削り、附則第一項の見出し及び項番号を削る。

(解説):第二項及び第三項は「刑法等の一部を改正する法律」が成立するまでの期間における調整規定であり、 「刑法等の一部を改正する法律」施行に伴い調整規定が不要となり削除されたことに伴い、 附則第三十五条が第一項の施行期日の規定だけになったので、見出し及び項番号も必要なくなり、削除されたものです。

削除された第二項では「〜刑法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第  号)」と法律番号が空白になっていましたが、 これは、一般社団・財団法人法等整備法が成立した時点では「刑法等の一部を改正する法律」が国会の継続審査となっていて未公布であったためで、 その後「刑法等の一部を改正する法律」が平成23年度の国会で法律番号第74号として成立したので調整規定が不要となり削除されたものです。(調整規定でなければ、空白となっていた法律番号を加筆補完の上、官報の正誤欄にて掲載する手続きがとられる。)

区分所有法附則(平成23年6月24日法律第74号)
第一条  この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

(解説):区分所有法第47条第10項において管理組合法人に適用される一般社団・財団法人法第4条及び第78条において準用されるコンピュータ・ウイルス等に関する「刑法等の一部を改正する法律」の適用は、 公布の6月24日から20日経過した平成23年7月14日から施行されます。

(参考):「一般社団・財団法人法」第4条(住所)及び第78条(代表者の行為についての損害賠償責任)
第四条  一般社団法人及び一般財団法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第七十八条  一般社団法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

(2)平成23年5月25日改正法の新旧対照条文

建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律新旧対照条文
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
改正:平成23年5月25日法律53号(施行:平成25年1月1日)
改正理由:「非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う改正」

(注:下記表における「現行」とは、「改正前条文」を指しています。傍線部分は改正部分です。)

改 正 現 行

(削除)

(即時抗告)
第五十六条の六 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告することができる。

(検査役の選任)
第五十六条の七 裁判所は、管理組合法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、 検査役を選任することができる。

2 第五十六条の四及び第五十六条の五の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。
この場合において、同条中「清算人及び監事」とあるのは、「管理組合法人及び検査役」と読み替えるものとする。

(検査役の選任)
第五十六条の七 裁判所は、管理組合法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、 検査役を選任することができる。

2 前三条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。
この場合において、第五十六条の五中「清算人及び監事」とあるのは、「管理組合法人及び検査役」と読み替えるものとする。


(解説):
 第五十六条の六項と七項は平成18年改正で追加されたもので、 管理組合法人を解散し清算(残余財産を権利者に公平に分配)するときの裁判所が選任する清算人と検査役に関する規定です。

平成18年改正の第五十六条の二により管理組合法人では任意清算は認められず、清算手続きは裁判所の監督のもとで法定清算手続きによる事となりましたが、 更に平成23年5月改正は非訴法改正に伴う手続きに関連して、管理組合法人の解散及び清算時の検査役選任に関する改正を行ったものです。

4 平成16年6月〜平成20年4月改正法の新旧対照条文

建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律新旧対照条文
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
改正:平成16年6月18日法律第124号・改正:平成17年7月26日法律第87号
改正:平成18年6月2日法律第50号  ・改正:平成20年3月31日法律第9号
改正:平成20年4月30日号外法律第23号
改正理由:「破産法、不動産登記法、会社法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、租税特別措置法、所得税法等の一部を改正する法律の施行に伴う改正」 など、商法が2005年(平成17年)に会社法に全面改正された影響によるものです。

(注):下記表における「現行」とは、「改正前条文」を指しています。傍線部分は改正部分です。
    改正条文ごとに、それぞれの改正年度と改正法の法律番号を記しています。

改 正 現 行

(分離処分の無効の主張の制限)
第二十三条 前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、 その無効を善意の相手方に、主張することができない。
ただし、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、 その処分がされたときは、この限りでない。《改正》平16法124

(分離処分の無効の主張の制限)
第二十三条  前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、 その無効を善意の相手方に主張することができない。
ただし、不動産登記法 (明治三十二年法律第二十四号)の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、 その処分がされたときは、この限りでない。

第6節 管理組合法人
(成立等)
第四十七条
10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は管理組合法人に、破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。《改正》平18法050

第6節 管理組合法人
(成立等)
第四十七条
7 民法第四十三条、第四十四条、第五十条及び第五十一条の規定は管理組合法人に、 破産法(大正十一年法律第七十一号)第百二十七条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。

(成立等)
第四十七条
13  管理組合法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、 同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。 この場合において、同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第四項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。」と、 同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、 同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。)」とする。《改正》平20法023

(成立等)
第四十七条
10  管理組合法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、 同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。 この場合において、同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第三項及び第四項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。」と、 同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、 同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。)」とする。

(財産目録及び区分所有者名簿)
第四十八条の二 管理組合法人は、設立の時及び毎年1月から3月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。 ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
《追加》平18法050

2 管理組合法人は、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。《追加》平18法050

(追加) 注記:
 旧法第四十七条第七項で準拠規定されていた民法第五十一条が、この「財産目録及び区分所有者名簿」の作成義務規定でしたが、 平成18年法律第50号により、民法の「法人の設立、管理、解散に関する規定(第三十八条〜第八十四条)」の削除に伴い、削除された民法第五十一条の同一規定を区分所有法に新たに置いたものです。

協同組合など他の組合関連法でもこの旧民法第五十一条規定を当該法令の一部に書き加える改正が一斉に行われました。

(理事)
第四十九条 管理組合法人には、理事を置かなければならない。
《追加》平18法050

2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。《追加》平18法050

(追加)
2項の追加に伴い旧法の2項は3項となり、以降は順次番号が繰り下がります。

 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、 新たに選任された理事(第四十九条の4第1項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。 《改正》平17法087《改正》平18法050

 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、 任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事が就任するまで、なおその職務を行う。

8 第二十五条の規定は、理事に準用する。《改正》平18法050

7 第二十五条、民法第五十二条第二項及び第五十四条から第五十六条まで並びに非訴事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)第三十五条第一項の規定は、理事に準用する。

(理事の代理権)
第四十九条の二 理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。《追加》平18法050

(追加)

(理事の代理行為の委任)
第四十九条の三 理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、 特定の行為の代理を他人に委任することができる。
《追加》平18法050

(追加)

(仮理事)
第四十九条の四 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、 裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
《追加》平18法050

2 仮理事の選任に関する事件は、管理組合法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。《追加》平18法050

(追加)

(監事)
第五十条  管理組合法人には、監事を置かなければならない。
2  監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。

(監事)
第五十条  管理組合法人には、監事を置かなければならない。
2  監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。

3 監事の職務は、次のとおりとする。
一 管理組合法人の財産の状況を監査すること。
二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。
四 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。《追加》平18法050

(追加)

4  第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。《改正》平18法050

3  第二十五条並びに前条第五項及び第六項、民法第五十六条及び第五十九条並びに非訴事件手続法第三十五条第一項の規定は、監事に準用する。

(解散)
第五十五条  管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一  建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二  建物に専有部分がなくなつたこと。
三  集会の決議
2  前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
《3項削除》平18法050

(解散)
第五十五条  管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一  建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二  建物に専有部分がなくなつたこと。
三  集会の決議
2  前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
3  民法第七十三条から第七十六条まで及び第七十八条から第八十二条まで並びに非訴事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項及び第三十六条から第三十七条までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。

(清算中の管理組合法人の能力)
第五十五条の二 解散した管理組合法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

(追加)

(清算人)
第五十五条の三 管理組合法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。 ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は集会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない
《追加》平18法050

(追加)

(裁判所による清算人の選任)
第五十五条の四  前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、 裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
《追加》平18法050

(追加)

(清算人の解任)
第五十五条の五  重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、 清算人を解任することができる。
《追加》平18法050

(追加)

(清算人の職務及び権限)
第五十五条の六  清算人の職務は、次のとおりとする。
一  現務の結了
二  債権の取立て及び債務の弁済
三  残余財産の引渡し
2  清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
《追加》平18法050

(追加)

(債権の申出の催告等)
第五十五条の七  清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、 一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。
2  前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。 ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3  清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4  第一項の公告は、官報に掲載してする。
《追加》平18法050

(追加)

(債権の申出の催告等)
第五十五条の七  清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、 一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。
2  前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。 ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3  清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4  第一項の公告は、官報に掲載してする。
《追加》平18法050

(追加)

(期間経過後の債権の申出)
第五十五条の八  前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、 管理組合法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
《追加》平18法050

(追加)

(清算中の管理組合法人についての破産手続の開始)
第五十五条の九  清算中に管理組合法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、 清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。

2  清算人は、清算中の管理組合法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、 破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。

3  前項に規定する場合において、清算中の管理組合法人が既に債権者に支払い、 又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

4  第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。《本条はすべて追加》平18法050

(追加)

(裁判所による監督)
第五十六条の二  管理組合法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。

2  裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。《本条はすべて追加》平18法050

(追加)

(解散及び清算の監督等に関する事件の管轄)
第五十六条の三  管理組合法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、 その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
《追加》平18法050

(追加)

(不服申立ての制限)
第五十六条の四  清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
《追加》平18法050

(追加)

(裁判所の選任する清算人の報酬)
第五十六条の五  裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、 管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。 この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。
《追加》平18法050

(追加)

(即時抗告)
第五十六条の六 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告することができる。

(追加)

(検査役の選任)
第五十六条の七  裁判所は、管理組合法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、 検査役を選任することができる。

2  前三条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。 この場合において、第五十六条の五中「清算人及び監事」とあるのは、「管理組合法人及び検査役」と読み替えるものとする。《追加》平18法050

(追加)

 

5 平成14年改正の目的と要点

改正:平成14年12月11日号外法律第140号

  改正の目的と要点

  (前注) この要綱において「第○○条」とあるのは、建物の区分所有等に関する法律の規定を示す。

第一

共用部分の変更
共用部分の変更は、形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除き、 区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決するものとする(第十七条第一項参照)。

第二  管理者及び管理組合法人の代理権及び当事者適格

管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領に関し、 区分所有者を代理するものとする(第二十六条第二項参照)。

管理者は、規約又は集会の決議により、一の請求及び受領に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができるものとする(同条第四項参照)。

管理組合法人の代理権及び当事者適格に関しても、一及び二と同様の措置を講ずるものとする(第四十七条第六項参照)。

第三

規約の適正化
規約は、各専有部分及び共用部分又は建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設(これらに関する権利を含む。)につき、 その形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに各区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、 各区分所有者の利害の衡平が図られるように定めなければならないものとする(第三十条第一項及び第二項参照)。

第四

管理組合の法人化の要件
第三条に規定する団体が法人となるための人数要件を撤廃するものとする(第四十七条第一項参照)。

第五  規約・議事録等及び集会・決議の電子化等
 一  規約・議事録等の関係書類の電子化

規約、議事録等(以下「規約等」という。)の関係書類は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作成される記録であって、 電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成し、 又は保管することができるものとする(第三十三条、第四十二条及び第四十五条参照)。

規約等を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、次に掲げる閲覧を拒んではならないものとする(第三十三条第二項参照)。

(一)

規約等が書面で作成されているときは、当該書面の閲覧

(二)

規約等が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの規約の保管場所における閲覧

議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名に代わる措置を執らなければならないものとする(第四十二条参照)。

その他、規約等の電子化に伴う関係規定の整備をするものとする。

 二

集会における電磁的方法による議決権の行使
区分所有者は、規約又は集会の決議により、書面による議決権の行使に代えて、 電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によって議決権を行使することができるものとする(第三十九条参照)。

 三  書面又は電磁的方法による決議

法律又は規約により集会の決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、各区分所有者は、書面又は電磁的方法による決議をすることができるものとする。 ただし、電磁的方法による決議に係る承諾については、法務省令で定めるところによるものとする(第四十五条参照)。

法律又は規約により集会の決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、各区分所有者は、書面又は電磁的方法による決議をすることができるものとする。 ただし、電磁的方法による決議に係る承諾については、法務省令で定めるところによるものとする(第四十五条参照)。

書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有するものとする。

第六  復旧
 一  買取人の指定

第六十一条第五項の決議(以下「復旧決議」という。)があった場合において、復旧決議の日から二週間を経過したときは、3の場合を除き、 復旧決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、 建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるものとする(第六十一条第七項参照)。

1の請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、 当該建物及びその敷地に関する権利を第十四条に定める割合に応じて時価で買い取るべきことを請求することができるものとする。

復旧決議の日から二週間以内に、決議賛成者が全員の合意により建物及び敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、 その指定された者(以下「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、 その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、1の請求をすることができるものとする。

買取指定者が1の請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずるものとする。 ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、 執行が容易であることを証明したときは、この限りでないものとする。

1の請求を受けた買取指定者、2の請求を受けた決議賛成者又は4の債務について履行の請求を受けた決議賛成者についても、当該買取指定者又は決議賛成者の請求により、 裁判所が支払の期限の許与をすることができるものとする(第六十一条第九項参照)。

 二  買取請求権の行使期間

買取指定者の指定がされていないときは復旧決議をした集会を招集した者、買取指定者の指定がされているときは当該買取指定者は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、 四月以上の期間を定めて、一の1の請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができるものとする(第六十一条第七項参照)。

1の催告を受けた区分所有者は、1の期間を経過したときは、一の1の請求をすることができないものとする。

第七  建替え決議
 一

建替え決議の要件
建替え決議の要件に関しては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数決のみで、建物を取り壊し、かつ、 当該建物の敷地若しくはその一部の土地又はその敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができるものとする。

なお、多数決に加えて、次の1又は2を満たすことを要件として付加すべきであるとの意見があった。(第六十二条第一項参照)

 建物が新築された日から三十年を経過したこと。

損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。以下同じ。)をするのに当該建物の価額を超える費用を要するに至ったこと。

 二

招集通知の発出時期
建替え決議を会議の目的とする集会を招集するときは、当該集会の会日より少なくとも二月前に招集の通知を発しなければならないものとする(第三十五条第一項参照)。

 三

通知事項
建替え決議を会議の目的とする集会の招集の通知をするときは、議案の要領のほか、次に掲げる事項をも通知しなければならないものとする(第三十五条第五項参照)。
1)建替えの理由
2)建物の効用の維持又は回復をするのに要する費用の額及びその内訳
3)建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
4)建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

 四

説明会の開催
建替え決議を会議の目的とする集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、 当該招集の際に通知すべき事項に関する説明会を開催しなければならないものとする。

第八  団地内の建物の建替え承認決議
 一

一団地内にある数棟の建物(以下単に「団地内建物」という。)の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、 その団地内の一棟の建物(以下単に「一棟の建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属する場合において、 当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である団地内建物の団地建物所有者で構成される団地管理組合又は団地管理組合法人の集会の承認を得たときは、 当該一棟の建物の団地建物所有者は、当該一棟の建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。) に新たに建物を建築することができるものとする。

ただし、当該一棟の建物が専有部分のある建物である場合にあってはその建替え決議又はその区分所有者の全員の同意がある場合に、 当該一棟の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合にあってはその所有者の同意がある場合に限るものとする(第六十二条第一項、第六十五条及び民法第二百五十一条参照)。

 二

一の建替えの承認の決議は、当該集会における議決権の四分の三以上の多数をもってしなければならないものとし、 各団地建物所有者の議決権は、当該土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。

 三

一のただし書の場合における当該一棟の建物の団地建物所有者は、一の集会においては、当該一棟の建物の建替えに同意する旨の議決権の行使をしたものとみなすものとする。 ただし、当該一棟の建物が専有部分のある建物である場合において、当該一棟の建物の区分所有者が団地内建物のうち当該一棟の建物以外の建物の敷地利用権に基づいて有する議決権については、 この限りでないものとする。

 四

一の集会を招集するときは、その招集の通知は、当該集会の会日より少なくとも二月前に、 新たに建築する建物の設計の概要(当該建物の団地内における位置を含む。)をも示して発しなければならないものとする。

 五

一の場合において、当該一棟の建物の建替えが、当該一棟の建物以外の建物(以下「当該建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、 一の建替えの承認の決議において、次に掲げる者が当該建替えに同意する旨の議決権を行使しているときに限り、当該建替えをすることができるものとする。

当該建物が専有部分のある建物である場合 一の集会において当該建物の区分所有者が有する議決権の合計の四分の三以上を有する区分所有者

当該建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該建物の所有者

 六

一の場合において、建替えをする当該一棟の建物が二以上あるときは、当該二以上の建物の団地建物所有者は、各建物の団地建物所有者の合意(当該一棟の建物が専有部分のある建物であるときは、 当該一棟の建物の建替え決議を会議の目的とする集会において、 当該二以上の建物の建替えについて一括して一の建替えの承認の決議に付する旨の決議(注))により、当該二以上の建物の建替えについて一括して一の建替えの承認の決議に付することができるものとする。

(注) 当該二以上の建物の建替えについて一括して一の建替えの承認の決議に付する旨の決議は、当該一棟の建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数をもってしなければならないものとする。

6 平成14年12月改正法の新旧対照条文

建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律新旧対照条文
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
改正:平成14年12月11日号外法律第140号

(注:下記表における「現行」とは、「改正前条文」を指しています。傍線部分は改正部分です。)

改 正 現 行

目次
第一章 (略)
 第一節〜第八節 (略)
第二章 団地(第六十五条−第七十条)
第三章 罰則(第七十一条・第七十二条)
附則

目次
第一章 (同左)
 第一節〜第八節 (同左)
第二章 団地(第六十五条−第六十八条)
第三章 罰則(第六十九条・第七十条)
附則

(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更( その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、 区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。 ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。

(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、 区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。 ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。

2 (略) 2 (同左)

(権限)
第二十六条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地 及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、 集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。

(権限)
第二十六条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地 及び附属施設を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。

2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。 第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに 共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。

2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。 第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額の請求 及び受領についても、同様とする。

(規約事項) 第三十条 (略) 3〜5 (同左)
2 (略) 2 (同左)

3 前二項に規定する規約は、 専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、 これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、 区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。

(新設)

4 第一項及び第二項の場合には、 区分所有者以外の者の権利を害することができない。

3 前二項の場合には、 区分所有者以外の者の権利を害することができない。

5 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、 磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録で あって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。 以下同じ。)により、これを作成しなければならない。

(新設)

(規約の保管及び閲覧)
第三十三条 (略)
(規約の保管及び閲覧)
第三十三条 (同左)

2 前項の規定により規約を保管する者は、 利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧 (規約が電磁的記録で作成されているときは、 当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧) を拒んではならない。

2 前項の規定により規約を保管する者は、 利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。

3 (略) 3 (同左)
(招集の通知)
第三十五条 (略)
(招集の通知)
第三十五条 (同左)
2〜4 (略) 2〜4 (同左)

5 第一項の通知をする場合において、会議の 目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、 第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、 その議案の要領をも通知しなければならない。

5 第一項の通知をする場合において、 会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、 第六十二条第一項又は第六十八条第一項に規定する決議事項であるときは、 その議案の要領をも通知しなければならない。

(議事)第三十九条 (略) (議事)第三十九条 (同左)
2 (略) 2 (同左)

3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、 前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、 電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。 以下同じ。)によって議決権を行使することができる。

(新設)

(議事録)
第四十二条 集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。

(議事録)
第四十二条 集会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。

2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。

2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、 議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。

3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、 議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。

(新設)

4 第二項の場合において、 議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、 議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置を執らなければならない。

(新設)

5 第三十三条の規定は、議事録について準用する。

3 第三十三条の規定は、議事録に準用する。

(書面又は電磁的方法による決議)
第四十五条 この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、 書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、 電磁的方法による決議に係る区分所有者の承諾については、法務省令で定めるところによらなければならない。

(書面決議)第四十五条 (新設)

この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、 区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、 書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。

1 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、 区分所有者全員の書面による合意があったときは、集会の決議があったものとみなす。

3 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項についての書面 又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する。

(新設)

第三十三条の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに 第一項及び第二項の電磁的方法が行われる場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。

2 第三十三条の規定は、前項の書面に準用する。

5 集会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。

(新設)

(成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びに その名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。

(成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体で区分所有者の数が三十人以上であるものは、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による 集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ 、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。

2〜5 (略) 2〜5 (同左)

管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。 第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく 保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。

管理組合法人は、区分所有者を代理して、第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。) の規定による損害保険契約に基づく保険金額を請求し、受領することができる。

7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(新設)

8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、 区分所有者のために、原告又は被告となることができる。

(新設)

9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。 この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

(新設)

10 (略) 7 (同左)

11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第 四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、 管理組合法人には、適用しない。

8 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第三項及び第四十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、 管理組合法人には適用しない。

12 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。 以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、 第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。

管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第三項及び第四十五条第二項 において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは 「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、 第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。

13・14 (略)

10・11 (同左)

(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
第六十一条 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、 滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。 ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があったときは、この限りでない。

(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
第六十一条 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、 各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。 ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項次条第一項又は第七十条第一項の決議があったときは、この限りでない。

2〜5 (略)

2〜5 (同左)

6 前項の決議をした集会の議事録には、 その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。

6 前項の決議をした集会の議事録には、 その決議についての各区分所有者の賛否をも記載しなければならない。

7 第五項の決議があった場合において、 その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者 (その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、 決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。 この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、 他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を 時価で買い取るべきことを請求することができる。

7 第五項の決議があったときは、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。)以外の区分所有者は、 決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

8 第五項の決議の日から二週間以内に、 決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、 かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、 その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。

(新設)

9 買取指定者が第七項前段に規定する請求 に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、 決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第十三項において同じ。)は、 連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。 ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。

(新設)

10 第五項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、 当該買取指定者)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、 第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。

(新設)

11 前項に規定する催告を受けた区分所有者は、 前項の規定により定められた期間を経過したときは、第七項前段に規定する請求をすることができない。

(新設)

12 第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、 次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、 建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項又は次条第一項の決議がないときは、 各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

13 第二項、七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、 償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、 償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。

9 第二項及び前二項の場合には、裁判所は、償還又は買取りの請求を受けた区分所有者の請求により、 償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。

(建替え決議) 第六十二条 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、 建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは 一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

(建替え決議)
第六十二条 老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、 建物がその効用を維持し又は回復するのに過分の費用を要するに至ったときは、集会において、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、 かつ、建物の敷地に新たに主たる使用目的を同一とする建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

2 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要

2 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 新たに建築する建物(以下「再建建物」という。)の設計の概要

二〜四 (略)

二〜四 (同左)

二〜四 (略)

二〜四 (同左)

3 (略)

3 (同左)

4 第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは、 第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。 ただし、この期間は、規約で伸長することができる。

(新設)

5 前項に規定する場合において、第三十五条第一項の通知をするときは、 同条第五項に規定する議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。) をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

(新設)

6 第四項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、 当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。

(新設)

7 第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条の規定は、 前項の説明会の開催について準用する。この場合において、第三十五条第一項ただし書中「伸縮する」とあるのは、「伸長する」と読み替えるものとする。

(新設)

前条第六項の規定は、建替え決議をした集会の議事録について準用する。

4 前条第六項の規定は、建替え決議をした集会の議事録に準用する。

(建物の区分所有に関する規定の準用)
第六十六条 第七条、第八条、第十七条から第十九条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条、第二十九条、 第三十条第一項及び第三項から第五項まで、第三十一条第一項並びに第三十三条から第五十六条までの規定は、 前条の場合について準用する。

この場合において、これらの規定(第五十五条第一項第一号を除く。) 中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、 第七条第一項中「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施 設」とあるのは 「第六十五条に規定する場合における当該土地若しくは附属施設(以下「土地等」という。)」と、「区分所有権」とあるのは 「土地等に関する権利、建物又は区分所有権」と、第十七条、第十八条第一項及び第四項並びに第十九条中「共用部分」とあり、 第二十六条第一項中「共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設」とあり、 並びに第二十九条第一項中「建物並びにその敷地及び附属施設」とあるのは「土地等並びに第六十八条の規定による規約により 管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、 第十七条第二項、第三十五条第二項及び第三項、第四十条並びに第四十四条第一項中「専有部分」とあるのは 「建物又は専有部分」と、第二十九条第一項、第三十八条、第五十三条第一項及び第五十六条中「第十四条に定める」とあるのは 「土地等(これらに関する権利を含む。)の持分の」と、第三十条第一項及び第四十六条第二項中「建物又はその敷地若しくは 附属施設」とあるのは「土地等又は第六十八条第一項各号に掲げる物と、第三十条第三項中「専有部分若しくは共用部分又は 建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)」とあるのは「建物若しくは 専有部分若しくは土地等(土地等に関する権利を含む。)又は第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた 同条第一項第一号に掲げる土地若しくは附属施設(これらに関する権利を含む。)若しくは同項第二号 に掲げる建物の共用部分」と、第三十三条第三項、第三十五条第四項及び第四十四条第二項中「建物内」とあるのは「団地内」と、 第三十五条第五項中「第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九第七項」 とあるのは「第六十九条第一項又は第七十条第一項」と、第四十六条第二項中「占有者」とあるのは 「建物又は専有部分を占有する者で第六十五条に規定する団地建物所有者でないもの」と、第四十七条第一項中「第三条」とあるのは 「第六十五条」と、第五十五条第一項第一号中「建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、 その共用部分)」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)」と、同項第二号中「建物に専有 部分が」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)が第六十五条に規定する団地建物所有者の共有で」と読み替えるものとする。

(建物の区分所有に関する規定の準用)
第六十六条 第七条、第八条、第十七条から第十九条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条、 第二十九条、第三十条第一項及び第三項、第三十一条第一項並びに第三十三条から第五十六条までの規定は、前条の場合に準用する。

この場合において、これらの規定(第五十五条第一項第一号を除く。)中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、 「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、第七条第一項中「共用部分、 建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設」とあるのは「第六十五条に規定する場合における当該土地若しくは附属施設(以下 「土地等」という。)」と、「区分所有権」とあるのは「土地等に関する権利、建物又は区分所有権」と、第十七条、 第十八条第一項及び第四項並びに第十九条中「共用部分」とあり、第二十六条第一項中「共用部分並びに第二十一条に規定する場合に おける当該建物の敷地及び附属施設」とあり、並びに第二十九条第一項中「建物並びにその敷地及び附属施設」とあるのは 「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに 同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第十七条第二項、第三十五条第二項及び第三項、 第四十条並びに第四十四条第一項中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と、第二十九条 第一項、第三十八条、第五十三条第一項及び第五十六条中「第十四条に定める」とあるのは 「土地等(これらに関する権関する権利を含む。)の持分の」と、第三十条第一項及び第四十六条第二項中 「建物又はその敷地若しくは附属施設」とあるのは「土地等又は第六十八条第一項各号に掲げる物」と、 第三十三条第三項、第三十五条第四項及び第四十四条第二項中「建物内」とあるのは「団地内」と、 第四十六条第二項中「占有者」とあるのは「建物又は専有部分を占有する者で第六十五条に規定する団地建物所有者でない もの」と、第四十七条第一項中「第三条」とあるのは「第六十五条」と、第五十五条第一項第一号中「建物 (一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)」とあるのは「土地等 (これらに関する権利を含む。)」と、同項第二号中「建物に専有部分が」とあるのは「土地等(これらに 関する権利を含む。)が第六十五条に規定する団地建物所有者の共有で」と読み替えるものとする。

(団地内の建物の建替え承認決議)
第六十九条 一団地内にある数棟の建物(以下この条及び次条において「団地内建物」という。) の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(以下この条において 「特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の第六十五条 に規定する団地建物所有者(以下この条において単に「団地建物所有者」という。) の共有に属する場合においては、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める要件に 該当する場合であって当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である当該団地内建物の 団地建物所有者で構成される同条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において 議決権の四分の三以上の多数による承認の決議(以下「建替え承認決議」という。)を得たときは、 当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として 管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。) に新たに建物を建築することができる。

一 当該特定建物が専有部分のある建物である場合 その建替え決議又はその区分所有者の全員の同意があること。

二 当該特定建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 その所有者の同意があること。

2 前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、 第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であっても、 当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。

3 第一項各号に定める要件に該当する場合における当該特定建物の団地建物所有者は、 建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす。 ただし、同項第一号に規定する場合において、当該特定建物の区分所有者が団地内建物のうち 当該特定建物以外の建物の敷地利用権に基づいて有する議決権の行使については、この限りでない。

4 第一項の集会を招集するときは、第六十六条において準用する第三十五条第一項の通知は、 同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に、同条第五項に規定する議案の要領のほか、 新たに建築する建物の設計の概要(当該建物の当該団地内における位置を含む。) をも示して発しなければならない。 ただし、この期間は、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約で伸長することができる。

5 第一項の場合において、建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物 (以下この項において「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、 次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者が当該建替え承認決議に賛成しているときに限り、 当該特定建物の建替えをすることができる。

一 当該他の建物が専有部分のある建物である場合 第一項の集会において当該他の建物の区分所有者全員の 議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者

二 当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該他の建物の所有者

6 第一項の場合において、当該特定建物が二以上あるときは、当該二以上の特定建物の団地建物所有者は、 各特定建物の団地建物所有者の合意により、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議 に付することができる。

7 前項の場合において、当該特定建物が専有部分のある建物であるときは、 当該特定建物の建替えを会議の目的とする第六十二条第一項の集会において、 当該特定建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、 当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。 この場合において、その決議があつたときは、当該特定建物の団地建物所有者(区分所有者に限る。) の前項に規定する合意があったものとみなす。

(新設)

(団地内の建物の一括建替え決議)
第七十条 団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地 (団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、 これに関する権利を含む。以下この項及び次項において同じ。)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、 当該団地内建物について第六十八条第一項(第一号を除く。)の規定により第六十六条において準用する第三十条第一項 の規約が定められているときは、第六十二条第一項の規定にかかわらず、当該団地内建物の敷地の共有者である 当該団地内建物の区分所有者で構成される第六十五条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、 当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該団地内建物につき一括して、 その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地(これに関する権利を除く。以下この項において同じ。) 若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地(第三項第一号においてこれらの土地を 「再建団地内敷地」という。)に新たに建物を建築する旨の決議(以下この条において「一括建替え決議」という。) をすることができる。

ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であって 第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない。

2 前条第二項の規定は、前項本文の各区分所有者の議決権について準用する。 この場合において、前条第二項中「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)」とあるのは、 「当該団地内建物の敷地」と読み替えるものとする。

3 団地内建物の一括建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。

一 再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要

二 新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要

三 団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額

四 前号に規定する費用の分担に関する事項

五 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項

4 第六十二条第三項から第八項まで、第六十三条及び第六十四条の規定は、 団地内建物の一括建替え決議について準用する。 この場合において、第六十二条第三項中「前項第三号及び第四号」とあるのは「第七十条第三項第四号及び 第五号」と、同条第四項中「第一項に規定する」とあるのは「第七十条第一項に規定する」と、 「第三十五条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項」と、 「規約」とあるのは「第六十六条において準用する第三十条第一項の規約」と、 同条第五項中「第三十五条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項」と、 同条第七項中「第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条」とあるのは「第六十六条において準用する 第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条」と、「第三十五条第一項ただし書」とあるのは 「第六十六条において準用する第三十五条第一項ただし書」と、同条第八項中「前条第六項」とあるのは「第六十一条第六項」と 読み替えるものとする。

(新設)

第七十一条 次の各号のいずれかに該当する 場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。

一 第三十三条第一項本文( 第四十二条第五項及び第四十五条第四項 (これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに 第六十六条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。) 又は第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。) において読み替えて適用される第三十三条第一項本文の規定に違反して、 規約、議事録又は第四十五条第四項(第六十六条において準用する場合を含む。)の書面 若しくは電磁的記録の保管をしなかったとき。

二 第三十三条第二項(第四十二条第五項及び第四十五条第四項 (これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。) の規定に違反して、正当な理由がないのに、前号に規定する書類又は電磁的記録に記録された情報 の内容を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧を拒んだとき。

三 第四十二条第一項から第四項まで(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。) の規定に違反して、議事録を作成せず、又は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、 若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。

四 第四十三条(第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。) において読み替えて適用される場合及び第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、 報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

第六十九条 次の各号の一に該当する場合には、 その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、十万円以下の過料に処する。
一 第三十三条第一項本文( 第四十二条第三項及び第四十五条第二項 (これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに 第六十六条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。) 又は第四十七条第九項(第六十六条において準用する場合を含む。) において読み替えて適用される第三十三条第一項本文の規定に違反して、 規約、議事録又は第四十五条第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の書面の保管をしなかったとき。

二 第三十三条第二項( 第四十二条第三項及び第四十五条第二項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。) 並びに第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、正当な理由がないのに、 前号に規定する書類の閲覧を拒んだとき。

三 第四十二条第一項又は第二項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、 議事録を作成せず、又は議事録に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。

四 第四十三条(第四十七条第九項(第六十六条において準用する場合を含む。)において 読み替えて適用される場合及び第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、 報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

五 (略) 五 (同左)

六 第四十七条第十項(第六十六条において 準用する場合を含む。)において準用する民法第五十一条第一項の規定に違反して、 財産目録を作成せず、又は財産目録に不正の記載若しくは記録をしたとき。

第四十七条第七項(第六十六条において 準用する場合を含む。)において準用する民法第五十一条第一項の規定に違反して、 財産目録を作成せず、又は財産目録に不正の記載をしたとき。

七〜十 (略) 七〜十 (同左)

第七十二条 第四十八条第二項(第六十六条に おいて準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

第七十条 第四十八条第二項(第六十六条にお いて準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。


7 平成14年改正の背景

平成14年12月11日号外法律第140号改正の目的

(1)管理の適正化に関する改正;   分譲マンションの管理をめぐって生じている問題点への対応。
(2)建替えの円滑化に関する改正;  復旧手続と建替え決議要件の拡充

(1) 管理の適正化に関する改正

(1.1)共用部分の変更(法17条改正)

 マンションの共用部分の管理は法18条、 39条1項により集会の普通決議(区分所有者及び議決権の各過半数)により行われることになっていますが、 共用部分の「変更」に該当する場合には、法17条で「共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、 区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」とされていました。

この条文は昭和37年区分所有法制定時にすでに第12条で規定されていたもので、制定時には括弧書きの部分はありませんでしたが、 その後、昭和58年改正で第17条に移され、同時に括弧書きの部分(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)が追加されました。

 これについて、当時、法務省民事局でも、何を持って「著しく多額の費用」とするかは難しく、 区分所有者の資力等によって異なってくる幅のある概念であり、法律的な判断は個々の事案ごとに判断すべきであるから、 このような相対的な概念については、具体的に各組合で普通決議と特別決議で決めるべき区分の基準を規約で定めておくのが適切な方法であり、 それが最終的な判断(争いになった場合の裁判所の判断)においても尊重されると考えていました。

しかし、「費用の過分性」をめぐる裁判が相次いだことから、平成14年改正法では、括弧書きの内容から過分の費用を削除し、 代わりに(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)を入れて、”著しく多額の費用を要する” 大規模修繕であっても、 ”形状又は効用の著しい変更” を伴わない以上、集会の普通決議でよいことを明確にしました。

改正後の「17条第1項のただし書」をも適用排除した事例。
平成26年に改正された「耐震改修促進法」第25条第3項において要耐震改修認定建築物の耐震改修が区分所有法第17条第1項に規定する共用部分の変更に該当する場合は、 「区分所有法第17条第1項のただし書の規定は、適用しない。」と規定され、過半数の賛成で改修決議が可能となりました。
ここでは、区分所有法第17条第1項のただし書の規定自体を適用しないとされています。

(1.2) 管理者等の権限の拡充(法26条2項改正、47条6〜9項改正・新設)

 区分所有建物の共用部分または共用部分を含む建物全体について区分所有者全員で火災保険その他の損害保険を一括付保した場合、 その保険金額の請求及び受領についての区分所有者を代理する権限を管理者が有するとしたのが従来法の法26条2項です。

ただし損壊行為等の不法行為により共用部分等に損害が生じた場合の損害賠償金や建築工事の瑕疵担保責任に基づく損害賠償金などの請求および受領については、 それらの利益は共用部分の共有持分であり、従って請求権は各区分所有者の権利であるという考えから、各区分所有者が持分割合に応じて権利行使をするものとされていましたが、 管理者が各区分所有者を代理して一元的に請求し受領することができるものとした方が、建物の円滑かつ適正な管理につながるため、平成14年改正では、管理者は、 共用部分ならびに建物の敷地および附属施設(以下「共用部分等」)について生じた損害賠償金および不当利得による返還金の請求および受領に関し、区分所有者を代理し、 また、規約または集会の決議により、区分所有者のために、原告または被告となることができるものとしました。

もっとも、各区分所有者は、本人として保険金や賠償金の支払を請求することができ、また保険請求権自体を第三者に譲渡することもできるので、 上に述べたような付保の目的を完全に達するためには、区分所有者自身の取立て、譲渡その他の処分を禁止する必要がありますが、 そこまで踏み込んだ法的な手当てはしていません。そこは従来法も同じでした。そこまでの規制をするかどうかは区分所有者の自治に委ねるのが相当とされたからです。

(1.3) 規約の適正化(法30条3項新設)

規約の衡平性をめぐって、例えば、法人区分所有者と個人区分所有者との間で管理費等の負担金額に差を設けた規約や、 駐車場や屋外広告塔等を専用使用する権利を認めている原始規約の有効性を巡る裁判などで、 それが合理的な限度を超えた差別的取扱いで公序良俗に反していないかどうか、が争われてきました。

 平成14年改正で法30条3項が新設されました。
「規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、 これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、 区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない」

この条文の「これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情」 と定義している要素は、今までに多くの判例で用いられた判断要素の積み重ねであり、例えば、

@「形状、面積」とは、床面積や容積その他の外形的要素を指し、区分所有法19条で管理費等は「その持分に応じて負担すべき」とし、 同じく14条で共用部分の持分割合は、「その有する専有部分の床面積の割合による」のが原則であるから、規約等においても、 合理的な理由なくして専有部分の床面積を考慮することなく管理費等の負担額に差異を設けてはいけないという原則を示しており、

A「使用目的」とは、専有部分を商業用や居住用に定める場合等における用途を指し、専有部分の用途によって、 共用部分の負担について異なる割合が定められる場合があること等を考慮したものであり、

B「利用状況」とは、共用部分等の利用方法やその頻度等を指し、設備や施設の利用頻度の違いに応じて、 清掃・保守・管理などの維持費の負担割合について異なる割合が定められることを考慮したものであり、

C「区分所有者が支払った対価」は、特定の区分所有者が共用部分を専用使用する権利の設定を受けるなど、その利用について特別の利益を得ている場合には、 これに関連して分譲業者に対し、対価が支払われていることは少なくなく、こうした対価の有無及びその多寡についても、 規約の衡平性を判断する場合の重要な考慮要素になっていました。

実務では、その代償関係ないし対価関係に合理性が認められるかどうかが争点となり、”その他の事情を総合的に考慮して”、 判断されてきました。

「総合的に」とは、例えば専有部分の床面積ではなく、容積や価格割合に応じて管理費の負担額を定めた規約や、 超高層マンションにおける階ごとに差を設けた管理費の負担額など@の「形状、面積」とC「区分所有者が支払った対価」の他に「位置関係」なども関係してくる事例などがあり、 それらに合理的な理由があるかを総合的に考慮して、区分所有者間の衡平を害するものかどうかを判断するというものです。

(1.4) 管理組合の法人化の要件緩和(法47条1項改正)

 昭和58年改正第47条で創設された管理組合法人は、 区分所有者の数が30人以上で四分の三以上の多数による集会決議が要件でしたが、 平成14年改正では人数要件が撤廃されました。特別多数決議が必要なのは変更ありません。

改正前の条文は昭和58年改正時に追加されたもので、従来、電話加入権を代表者個人名義で取得してきたこと、 不動産を取得するときの登記名義の扱いなど、 (1)法律関係の明確化、及びそれによる団体財産と個人財産の明確化、 (2)取引の安全の確保(法人でない場合は公的な方法では開示されないが、 法人の場合、取引の相手方は登記簿を調べて誰が代表者なのか、民事訴訟上当事者能力を有するかどうかなどの確認も容易にできる。) の2点、及び法人化することによる利子課税への優遇税制への期待などから要望があり、昭和54年1月から法制審議会で検討されてきました。
登記による公示とは、例えば、管理費つまり経費負担割合は原則的には専有部分の床面積の割合で決まりますが、 この割合は規約または不動産登記簿によって公示されていますから、 第三者はその不知を主張することができないのと同様です。(規約の公示は法33条)

法制審議会では、権利能力なき団体に法人成りの道を創設したとしても、管理組合の業務範囲は区分所有法で限定されており、これを 法人化しても特段のメリットを与えられるものではないが、法人化したとしても特に弊害もないとして、 昭和58年改正で新設されたのが法47条です。

但し、数の少ない小規模の管理組合では法人格を取得しなくても権利関係が輻輳することはない、 つまり法人化のメリットは少ないし、逆に そのような管理組合に法人格を与えても、法人としての厳格な規制を遵守できるかどうか疑わしい。 更に、登記事務上の負担も看過できない (代表理事が代わるたびに登記変更しなければならない)などから、 区分所有者の数が30人以上であるものに限って法人化を認めることにしました。

ただし、昭和58年改正後も期待していた利子税などへの優遇策などは一切なかったことなどから、 法人化の要件だった人数制限を撤廃しても特に弊害はないので、 平成14年改正で管理組合法人化のための人数要件が撤廃されました。

(1.5)規約・議事録等および集会・決議の電子化

 この改正内容については、 「組合文書の電子化の注意点」 で詳細に解説しています。

(1.6) 復旧手続の改正(法61条改正)

建物の価格の2分の1を超える部分が滅失したとき(大規模滅失)の復旧手続を改正するものです。

従前の条文では買取請求権を誰に対して行使するかは、復旧決議に賛成しなかった区分所有者の意思に委ねられていたため、 マンションが大規模滅失した場合の復旧決議に反対したものは、賛成者に対して、いつでも、誰に対しても買取を求めることができたため、 買取請求が特定の者に集中したり、買取請求権の行使期限が定められていなかったため、復旧工事開始後に買取請求行使されるなどの不都合がありました。そこで、

(イ)買取指定者制度(決議賛成者の全員の合意で決議の日から2週間以内に買取請求の相手方を指定し、 その指定された者がその旨を決議に賛成しなかった区分所有者に書面で通知した場合には、その通知を受けた区分所有者は、 その買取指定者に対してのみ買取請求ができる制度)及び

(ロ)再買取請求制度(買取指定者の指定がされなかった場合に、 買取請求を受けた決議賛成者が、他の決議賛成者に対し、その持分に応じた再買取請求をすることができる制度)を創設しました。 また、

(ハ)復旧決議を行った集会を招集した者が4ヶ月以上の期間を定めて買取請求権を行使するか否かを催告して、 この期間を経過したときは買取請求が行使できなくなることとしました。

(2)建替えの円滑化に関する改正

(2.1) 建替え決議の要件の緩和(法62条改正及び新設)

 従来は、建替え決議を行うためには、集会で区分所有者および議決権の各5分の4以上の特別多数決に加え、 「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至ったとき」という、 要件が必要とされていましたが、改正法では老朽、損傷、一部の滅失や費用の過分性といった決議要件は撤廃されました。

また、これまでは建替え決議により新たに建物を建築する場合、既存の建物の敷地と同一の土地に建築しなければならないものとされていましたが、この敷地の同一性の要件を緩和し、 既存の建物の敷地と同一でなくとも、これと一部でも重なっている土地であればよいとしました。 この改正により、例えば敷地に余裕があるケースでは、建替え費用捻出のために敷地の一部を売却することや、 逆に規模の大きな建物に建替えるために敷地の買い増しを行って新たな建物を建築することができるようになりました。

さらに、従前は新たに建築する建物は既存の建物と「主たる使用目的同一」でなければならないとされていましたが、 この要件も廃止されました。その他、
(1)招集通知発信時期(集会の会日より少なくとも2ヶ月前に招集通知を発すること)や、
(2)招集通知記載事項の追加(会議の目的や議案の要領の他に、建替えの要否を検討するために必要な事項)、
(3)説明会開催の義務付け(建替え決議を行う会日より1ヶ月前までに招集の際に通知すべき事項に関する説明会の開催)などが行われました。

(2.2) 団地内建物の建替え承認決議(法69条新設)

 団地の敷地は他の棟の区分所有者との共有です。そのため、従来は複数の区分所有建物が敷地を共通する団地において、 その中の1棟の建物を取り壊し、新たな建物に建替えようとする場合の手続規定を設けていなかったので、各建物の敷地全体が全建物の区分所有者の共有に属する場合にあっては、 民法の共有の規定に従うことになり、共有物の変更(民法251条)として敷地共有者全員の合意を要するとの解釈がありました。

平成14年改正法では、団地内にある数棟の建物の全部又は一部が区分所有建物であり、かつ、その団地内の特定の建物の所在する土地が団地建物所有者の共有に属している場合には、 その団地建物所有者で構成される団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による建替え承認決議が有った場合には、当該特定建物で建替え決議(区分所有者及び議決権の各5分の4以上)があれば、 団地内の特定の建物の建替えが実施できることにされました。

(2.3) 団地内建物の一括建替え決議(法70条新設)

 団地内の建物が全て区分所有建物であり、かつ当該敷地がその団地内の建物の区分所有者の共有に属する場合で、しかも各々の団地内建物を団地全体で管理するという規約が定められている場合には、 一団地内の全ての棟を一括で建替える場合には、団地管理組合の5分の4以上の賛成があれば、各棟において一括建替え決議を行うことができることとなりました。 ただし、その集会において各団地内建物ごとに、それぞれの3分の2以上がその一括建替え決議に賛成していなければならない、ということでバランスを取っています。

(3)「マンション建替えの円滑化等に関する法律」との調整

 「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」(平成14年6月19日法律第78号)は、 建替え決議を行った後のマンション建替え組合に法人格を付与し、組合が権利変換計画を定め、 計画に従った権利変換を行うことにより抵当権者や借家人などの権利との調整を行う建替事業について規定した行政法ですが、 その基本となる建替え決議の規則は区分所有法第61〜64条(団地規定は第69〜70条)に規定されています。
つまり、「区分所有法」による建替決議が法的に有効成立したことを前提として、「マンション建替え円滑化法」での行政による認定制度から始まるその後の建替事業制度(※)が機能する仕組みになっています。

このことから、「マンション建替え円滑化法」(行政法)は「区分所有法」(民法の特別法)に接ぎ木された行政法という形になっています。

平成14年区分所有法改正の上記(1.6)〜(2.3)は、この「マンション建替え円滑化法」が機能するための土台となる「建替え決議の規則を定めるための改正」です。

※法令では一般に「建替え」と送り仮名表記されますが、「建替事業」は法令では送り仮名がつかない表記になります。

区分所有法の昭和58年改正では、旧法第一条の「一むね」が「一棟」に、旧法の第十五条、第十七条第二項他の「行なう」が「行う」に改正された他、 旧法第二十八条の招集の通知の「その日数は規約で増減することができる」が新法第三十五条では「この期間は、規約で伸縮することができる」と改正されています。 法律の基礎は国語力です。