マンションNPOホーム管理組合会計(目次)

管理組合会計

3.管理組合会計の目的

管理組合会計の目的は説明責任(アカウンタビリティ)と情報公開(ディスクロージャー)にあります。誰が見てもわかるような一定の決まり事、すなわち会計基準が必要です。 企業会計原則の中の第四原則で、「企業」という文字を「管理組合」に、「利害関係者」を「区分所有者」に置き換えると、次のようになります。

「管理組合会計は、財務諸表によって、区分所有者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、管理組合の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。」

管理組合の会計基準


総   論

マンション管理組合の会計(以下「組合会計」という)とは、

その組合に属する資産、負債及び資本に増減変化の影響を及ぼすすべての取引を
正規の簿記の原則に従って正確かつ迅速に処理し、組合運営の一環たる責任を
果すとともに、総会への報告並びに利害関係者への閲覧に供するための財務諸表を
作成する会計組織及び事務の一切をいいます。

組合会計がその機能を十分に発揮するために留意しなければならない点として、
企業会計原則が発生主義に基づく損益計算上から示している次の原則を参考に
挙げます。

1.組合会計は、組合の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提出するもの
  でなければならない.(真実性の原則)

2.組合会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿
  を作成しなければならない。(正規の簿記の原則) 

 正規の簿記とは、次の3つの条件を満たすものです。
 網羅性:法人の財産の動き、状態をすべて表していること。
 検証性:検証可能な証拠に基づいて、記録されること
 秩序性:体系的に整然と記録されること

3.資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同
  してはならない。(剰余金区分の原則)(資本取引・損益取引区分の原則)

4.組合会計は、財務諸表によって、組合員をはじめ利害関係者に対し必要な会計事実
  を明瞭に表示し、組合の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。
                  (明瞭性の原則)

5.組合会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更
  してはならない。(継続性の原則)

6.組合の財政に不利な影響を及ばす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な
  会計処理をしなければならない。(保守主義の原則)

7.総会提出のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成
  する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる 会計記録に基づいて作成された
  ものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。
                 (単一性の原則)

公益会計基準、特定非営利活動法人会計基準の中には、上記企業会計基準にない
「予算準拠の原則」というのがあります。

特定非営利活動促進法第27条で規定される会計基準四原則
1.予算準拠の原則
2.正規の簿記の原則
3.真実性・明瞭性の原則
4.継続性の原則

予算準拠の原則とは、「収入及び支出は、予算に基づいて行うこと」ということです。
公益法人や特定非営利活動法人では、定款に定められた事業を構成員の総意に基づき
確実に実行することが必要であり、執行者の恣意に流されることなく、収入・支出は
事業計画に基づいて設定された収支予算に従って行われなければならないことを規定
したものです。管理組合にも、同じ事が云えます。
 
 これらの会計原則の適用について、特に重要と考えられること

(1)管理組合が、みなし公益法人、すなわち法人税が非課税となるのは
     非収益事業に限定されており、会計上は収益事業と非収益事業とを区別しなけ
     ればなりません。収益事業については課税されます。

(2)収益事業を行っている組合会計においては、剰余金の配当、持分の計算
    (区分所有法第19条共用部分の負担及び利益収取)を必要とするものが
     ありますので、十分留意して適正な処理を行ってください。

(3)収益事業でありながら、従来からの継続で収益事業とは認識していない項目に
     共有部分外壁に設置した看板の使用料や駐車場を居住者以外の人に貸していた
     場合の駐車場使用料などがあります。今まで非収益と収益事業に分けずに継続
     処理していたから、これでも問題ないと思い込むのは間違いです。

     自治体からの資源ごみ回収協力金(還付金)などは概して収益事業にはあたら
     ないと認定されているようですが、税務当局に確認された方がよいでしょう。

(4)勘定科目については、分類及び配列を整備するとともに科目名の使用について
     明瞭性の原則を守ってください。

(5)帳簿組織については、区分所有法、税法等に適合する帳簿を備付けることは
     いうまでもなく、各帳簿間の関連を十分に検討して、必ず内部牽制の組織を
     採り入れ会計帳簿における記録の正確性をはかってください。

(6)財務諸表については、これを閲覧する者において、組合会計の実状に
     関する判断を誤らせないよう明瞭な表示をすることはいうまでもなく、
     その内容は、同じ会計の処理手続を毎期継続して適用した会計記録に
     基づいて作成して下さい。

管理組合会計の特殊性

企業会計の中でも管理会計、組合会計という分野がありますが、これらは管理組合会計とは別の概念
です。

組合会計
組合会計の組合とは、下記の組合を指します。
事業協同組合、事業協同小組合、企業組合、協業組合、商工組合、(農業協同組合
や水産業協同組合なども商工組合)火災共済協同組合、信用協同組合

昭和51年に全国中小企業団体中央会が制定(平成3年3月改訂)した「協同組合経理基準」
はこれらの「組合会計」の処理基準を定めたものですが、これらは 収益事業目的であり、
非収益事業目的のマンションの管理組合にそのまま適用 できるものではありません。
更に組合員資格と権利義務の考え方が区分所有者 の場合とは全く異なります

財務会計と管理会計
管理会計というのは、財務会計に対する言葉で、財務会計が事業結果の評価分析を目的
とするのに対し、管理会計は、事業目的を達成するための最少費用で 最大効果を上げる
為の管理手法という性格を有しています。

財務会計とは事業の結果を利害関係者に報告することが主な目的です。
財務会計・・・・・・期間収益−期間費用=期間利益

財務会計は主として企業の外部利害関係者に、経営成績や財政状態を報告することを
目的としています。

管理会計は、企業の意思決定とか、業績評価のために、それに役立つ会計情報を
企業内部の管理者に提供するための会計です。

管理会計は計画(利益計画,資金計画,予算計画)と統制(利益統制,予算統制,原価管理)
に分類されます。
管理会計・・・・・・見積収益−目標利益=許容費用

長期修繕計画は、建物設備の維持管理費用を資金計画の裏付けと一緒に考えていこうと
いうものですから、管理会計の考え方が必要ですし、管理組合会計は 限られた予算の
中で建物設備の維持保全の支出を管理していくことから、この管理会計の手法が必要に
なってきます。

具体的には勘定科目の残高を予算と対比しながら、予算と決算の差異を少なくするよう
に運営し、収支の均衡と合理化を図ることが重要になってきます。

目的別会計(その目的とされた収入は、その目的のためにのみ支出すること)を適正に
行い、一般会計、特別会計間における安易な流用は避けるべきです。

会 計 単 位

1 管理組合の会計単位
  管理組合では、その会計を一般会計と特別会計に分けます。
  一般会計では、管理組合の運用と維持活動についての収支の状況を示します。
  特別会計では、大規模修繕の為の修繕積立金についての収支の状況を示します。

  さらに収益事業を行っている場合には、この収益事業についてはその事業ごとに 
  一つの特別会計単位を設けることになります。
  管理組合の行う事業のうち、収益事業による所得についてのみ課税されます。 
  そこで、収益事業の特別会計では企業会計方式の帳簿記録が行われ、一般会計
   とは違って固定資産に対する減価償却なども当然実施されることになります。

勘 定 科 目

1 勘定科目設定の原則
  勘定科目は、会計処理の基になるものですから、組合で実施する  
  事業の種類や事業の規模によって、これを設定しなければなりません。
  勘定科目の設定に当たっては、次の諸点に留意することが必要です。
(1)その内容が理解しやすい名称を選ぷこと。(明瞭性の原則)
(2)異なった性質の事柄を同一科目に混入しないようにすること。(単純性の原則)
(3)事業の規模及び種類に応じて、精粗の選択をすること。(適応性の原則)
(4)一度設定されたものは、みだりに変更しないこと。(継続性の原則)
(5)各科日の内容が系統的に分類表示されていること。(統一性の原則)

2 勘定科目表
  勘定科目は、通常の商業簿記参考書に網羅されている勘定科目の中から
  それぞれの組合の実状に最も適合するよう取捨選択し、場合によっては新たな
   勘定科目を設定してもさしつかえないと思います。

| 1 | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 2 3 |  4 | 5 | 5.1 | 6.1 | 6.2 | 7.1 | 7.2.1 | 7.2.2 | 7.3 | 7.48.1 | 8.2 |


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