「平成20年度税制改正」   マンションNPOホーム  

平成20年度住宅・土地税制改正のポイント

はじめに
.税制改正はその時代の社会情勢を反映してきました。

年度 創設または改正された制度 背景
平成18年度 耐震改修促進税制 前年の平成17年度に耐震偽装が社会問題になった
平成19年度 バリアフリー改修促進税制 バリアフリー新法2006年(平成18年)6月21日公布、同年12月20日施行)の促進
平成20年度 住宅の省エネ改修促進税制 2008年(平成20年)7月7日開催のG8洞爺湖サミット議題を地球温暖化とした
住宅の長寿命化(「200年住宅」)促進税制 平成19年5月に自民党住宅土地調査会が纏めた「200年住宅ビジョン」にそった「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」 平成20年11月28日国会議決

 

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」の詳細は「管理者管理方式と200年住宅ビジョン」参照

2.政府の提出法案が国会で成立しなくなった

  平成20年1月11日に「平成20年度税制改正の要綱」が閣議決定され、この要綱に基づいて作成された 「所得税法等の一部を改正する法律案」が平成20年1月18日召集の第169回通常国会に平成20年1月23日に提出されたのですが、衆参両院の『ねじれ国会』のため、衆議院で再可決・成立、公布されたのが会計年度に入ってからの平成20年4月30日で、 税制改正法案の成立は異例の1ヵ月遅れとなりました。

  2008年3月31日の衆議院本会議で、(国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案、 国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律案)が緊急上程され可決、その後、参議院本会議でも可決・成立しました。これによって2008年3月31日に適用期限が到来した租税特別措置法のうち、 「土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減」(措法72)・「特定目的会社が資産を取得した場合等の所有権の移転登記等の税率の軽減(措法83の3)については、 その適用期限が平成20年(2008年)5月31日まで延長されましたが、「住宅取得等資金に係る相続時清算課税制度の特例」(措法70の3、70の3の2)・「優良賃貸住宅の割増償却」(措法14、47、68の34)は適用期限が経過してしまいました。

   同様に地方税についても、「国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律」)が2008年3月31日に可決・成立したものの、「新築住宅の不動産取得税の減額措置で土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置」(新地法附10の2A)・「 新築住宅に係る固定資産税の減額措置」(新地法附15の6)・「高齢者向け優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置」(新地法附15の8C)は、その適用期限が経過してしまいました。

「 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案 」は平成20年11月末にようやく議決されました。
  政府案では、長期優良住宅(いわゆる「200年住宅」)の新築時における初期負担を軽減して住宅市場の立ち上げを支援する観点から、登録免許税の税率を軽減する特例措置を創設することとされ、その特例措置は、その創設を盛り込んだ「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」 の成立後に施行されることになっていました。第169回通常国会中の6月11日参議院本会議で福田康夫首相に対する問責決議可決の後、20日、衆参両院本会議で閉会中審査手続きを行い、 6月21日の会期末を待たずに事実上閉幕し、第169回通常国会の政府提出議案「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」は継続審議となって次の国会に先送りされました。その後、9月1日、福田康夫首相は首相官邸での記者会見で辞任を表明、その後、この法案は麻生内閣で議決されました。
  衆議院本会議議決日 平成20年11月21日、参議院本会議議決日 平成20年11月28日

―平成20年度住宅支援・優遇税制―

1  住宅の省エネ改修促進税制の創設

  居住者が、その者の居住の用に供する家屋について、一定の省エネ改修工事を含む増改築等(以下「省エネ改修工事等」という)を行った場合において、 当該家屋を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、一定の要件の下で、その省エネ改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分の一定割合が所得税額から控除されます。
なおこの特例は、現行の住宅ローン減税(増改築等)とその選択適用とされ、控除期間は5年、控除率は省エネ改修工事費が200万円まで2%、それを超えた分は1%。上限は1,000万円

「省エネ改修工事」とは

@ 対象となる家屋の要件:平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供していること。
A本特例の対象となる「省エネ改修工事」の要件
(1) 次のイの工事、又はイと合わせて行うロ〜ニの工事であること
イ 居室のすべての窓の断熱改修工事  (※ イの工事は必須です。)
ロ 床の断熱改修工事
ハ 天井の断熱改修工事
ニ 壁の断熱改修工事
(2) 改修部位がいずれも現行の省エネ基準に新たに適合すること
B 費用要件
住宅借入金等について、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等であること
省エネ改修工事に要した費用の合計が30万円以上であること
C 工事内容
省エネ改修工事のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当に上がるもの

申告の際には、
@住宅品質確保法に基づく登録住宅性能評価機関
A建築基準法に基づく指定確認検査機関
B建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士
のいずれかが作成する熱損失防止改修工事証明書(省エネ改修工事証明書)が必要です。

@所得税額控除制度

既存住宅において省エネ改修を行った場合の<現行の住宅ローン減税・省エネ改修工事促進税制の比較>

リフォームをしてローンを組んだとき、年末残高の一定割合が所得税から控除される特例には、従来からある「住宅ローン控除」と、
今回の改正で創設された「省エネ改修促進税制」がありますが、これらは両方同時につかうことはできません。いずれかを選択することになります。下記の実際の事例で、どちらが有利かを検討してみましょう。

 

項目 住宅ローン減税(措法41@) 住宅ローン減税(措法41B) 省エネ改修促進税制
税額控除率 1〜6年目:1.0%
7〜10年目:0.5 
1〜10年目:0.6%
11〜15年目:0.4%
2.0%(省エネ改修工事以外の部分は1.0%
控除期間 10年間 15年間 5年間
対象ローンの限度額 2,000万円 2,000万円 200万円(特定の省エネ改修工事以外の部分と合計で1,000万円)
ローンの償還期間 10年以上 10年以上 5年以上
工事費要件 100万円超 100万円超 30万円超

「解説」
「住宅ローン控除」はローンの返済期間が10年以上で、工事金額が100万円超の場合に適用されますが、昨年度から控除期間が10年のタイプと15年のタイプの2種類になっています。 (詳細は、「平成19年度住宅・土地税制改正のポイント(2)」を参照下さい。)
一方、「省エネ改修促進税制」による税額控除は、返済期間が5年以上のローンを組んで30万円超の省エネ改修工事をした場合に適用されます。これは平成19年度の税制改正で創設された「バリアフリー改修促進税制」とほぼ、同じ内容です。
(「住宅バリアフリー改修工事に係る住宅ローン税額控除制度の改正と創設」参照
但し、バリアフリー改修促進税制の適用対象者は50歳以上の者、介護保険法の要介護又は要支援の認定を受けている者、障害者である者などの制限がありましたが、「省エネ改修工事の控除」にはそれらの制限はありません。

「具体的事例」
事例条件:ローン設定時の年令が40歳の男性、年収700万円、家族は専業主婦の38歳の妻・5歳の子供一人のサラリーマン(給与所得のみ)とし、ローン期間において年収・家族構成は変わらないものとして設定しています。

[事例@]  省エネ改修費200万円で、200万円のローンを組んだ場合

項目

ローン期間

税額控除総額の計算

税額控除総額@

支払利息総額A(注1)

実質負担額(Aー@)
住宅ローン控除(期間10年) 10年 200万円×1.0%×6年=12万円
200万円×0.5%×4年= 4万円
16万円 60万円 44万円
15年 同上 同上 90万円 74万円
住宅ローン控除(期間15年) 10年 200万円×0.6%×10年=12万円 12万円 60万円 48万円
15年 200万円×0.6%×10年=12万円
200万円×0.4%×5年=4万円
16万円 90万円 74万円
省エネ改修控除 5年 200万円×2.0%×5年= 20万円 20万円 30万円 10万円
10年 同上 同上 60万円 40万円
15年 同上 同上 90万円 70万円
 

[事例A]  リフォーム代1,200万円(うち、省エネ改修費200万円)で、1,200万円のローンを組んだ場合

項目

ローン期間

税額控除総額の計算

税額控除総額@

支払利息総額A(注1)

実質負担額(Aー@)
住宅ローン控除(期間10年) 10年 1,200万円×1.0%×6年=72万円
1,200万円×0.5%×4年= 24万円
96万円 360万円 264万円
15年

同上

同上 540万円 444万円
住宅ローン控除(期間15年) 10年 1,200万円×0.6%×10年=72万円 72万円 300万円 48万円
15年 1,200万円×0.6%× 10年= 72万円
1,200万円×0.4%×5年=  24万円
96万円 540万円 444万円
省エネ改修控除 5年 200万円×2.0%×5年= 20万円
800万円(注3)×1.0%×5年=40万円
60万円 180万円 120万円
10年 同上 同上 360万円 300万円
15年 同上 同上 540万円 480万円

(注1)支払利息総額は利率年3.0%(固定金利)、ローン期間の最終年月日に一括返済としています。
(注2)1,000万円(限度額)-200万円(省エネ改修費)=800万円

「事例検討 どちらが有利か」

事例@では改修工事費用が200万円の場合は、5年ローンでも10年ローンでも「省エネ改修控除」を選択したほうが有利となります。
一方、事例Aのように改修工事費用が高額になって10年以上のローンを組む場合には、「住宅ローン控除」を選択したほうが有利となります。この場合、 10年ローンか15年ローンにするかは、毎月のローン返済額などを考慮して決定することになりますが、 但し、定年が近い給与所得者の場合は、定年後は支払う所得税額が減少するため、控除期間の長いローンを組んだ場合は、その設定された控除期間を使い切れない可能性がありますので、ご留意下さい。給与所得以外に不動産所得などがあって、定年後も一定の収入を維持して所得税を支払う場合には、住宅ローン控除を選択したほうが有利です。

A住宅の省エネ改修工事の固定資産税額控除制度

平成20年1月1日に存していた住宅で、平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に一定の省エネ改修工事を行ったもの(賃貸住宅を除く)について、 30万円以上の省エネ改修工事を行った場合、当該家屋に係る翌年度分の固定資産税額 (120u相当分までに限る)の3分の1を軽減する措置が創設されました。本特例の対象となる「省エネ改修工事」の要件は先に掲げた通りです。
省エネ改修工事完了後3ヶ月以内に、市区町村へ必要書類を添付して申告してください。
申告の際には、
@住宅品質確保法に基づく登録住宅性能評価機関
A建築基準法に基づく指定確認検査機関
B建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士
のいずれかが作成する熱損失防止改修工事証明書(省エネ改修工事証明書)が必要です。

2  長期耐用住宅の整備の促進に関する法律(仮称)の制定に伴う特例措置

長期耐用住宅の整備の促進に関する法律(仮称)の制定に伴い、新築の長期耐用住宅(いわゆる「200年住宅」)について、国税(登録免許税・所得税・法人税)及び地方税(固定資産税・不動産取得税)の税額控除・税率の軽減措置が予定されています。

3  登録免許税の税率の軽減措置の延長

2008年3月31日の衆議院本会議で、(国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案、国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律案)が緊急上程され可決、その後、参議院本会議でも可決・成立しました。これによって「土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減」(措法72)の適用期限が平成20年5月31日まで延長され、 個人又は法人が、平成18年4月1日から、平成20年5月31日までの間に、土地に関する次の登記を受ける場合には、登録免許税の税率を次の通りとすることになりました。「特定目的会社が資産を取得した場合等の所有権の移転登記等の税率の軽減(措法83の3)

 

項目

内容

売買による所有権の移転の登記

1,000分の10

有権の信託の登記

1,000分の2

「特定目的会社が資産を取得した場合等の所有権の移転登記等の税率の軽減(措法83の3)についても同様に、特定不動産又は指名金銭債権を取得に伴う不動産の権利の移転登記等に係る登録免許税の税率を軽減(不動産の所有権の移転登記の税率は0.8%)することとされました。

4  その他の適用期限の延長

給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例

 

制度 改正前適用期限 改正後適用期限 根拠法令
給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例 平成20年12月31日 平成22年12月31日 措法29