マンションNPOホーム管理組合会計(目次)

管理組合会計

1.3 収益事業の意義と範囲

 公益法人等は収益事業を営む場合にのみ納税義務を負い、収益事業から生じる所得に対してのみ法人税が課され、軽減税率の適用があります。 管理組合の場合も収益事業を営む場合には、通常の法人税の税率で課税されることとされており、公益法人等に対する軽減税率の適用はありません。そこで「収益事業」とは何かが問題になりますが、法人税法は「収益事業」を、「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう」と定義しています。したがって、公益法人等が営む事業が「収益事業」に該当するかどうかは、「収益事業の範囲に含まれる事業であるかどうか」と継続性が要件になります。政令では具体的に下記の33業種が限定列挙されており、これに該当しないものは収益事業にはなりません。

収益事業の範囲
 税法は、収益事業の意義を政令に委任し、法人税法施行令では、「収益事業の範囲」として、具体的に次の33業種を列挙して、これを「特掲事業」と呼びます。

特掲事業には、事業に付随して行われる行為を含むと政令に定められています。また、「収益事業を営む法人の区分経理」として、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならない旨を政令は定めています。

特掲事業(33業種)
 物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権提供業

課税される?課税されない?

組合費・・・・・・不課税
管理費・・・・・・不課税
修繕積立金・・不課税
駐車場の使用料・・・
  組合員に対するもので管理費等に組み入れているもの・・不課税
  組合員以外のものに対するもの・・課税 (駐車場業、更に、この資金を運用して得た受取利息も課税)

管理組合法人が保険代理契約を結んで生命保険や損害保険の代理業務を組合員を対象に行った・・・・課税(代理業 )

管理組合が組合員に対して有料で飲食の提供(調理業者から仕出しを受けて行うものも含む)をした・・・・課税(飲食業)

管理組合が組合員に対して広報を有料で配布した・・・・非課税(出版業にはあたらない。法人税法第5条第12号、但し購読が全組合員に義務付けられていること)

管理組合の広報に近隣商店街の広告を掲載し、広告収入を得た・・・・課税
  (出版業付随事業 )

管理組合が貸しロッカーを設置し、組合員に対して有料で利用させた・・・・非課税
  (「物品の貸付」とは、物品をその利用者の管理のもとに移してその利用をさせることをいい、専ら一定の施設内において、その施設を利用するものに対して、その施設利用の目的の範囲内で備え付けの物品を利用させる行為は、たとえその物品の利用について別途利用料を請求することがあるとしても、そのこと自体を物品貸付業とすることは相当ではない−法人税基本通達逐条解説)

屋上や壁面に他のものに使用させる広告看板を設置した。・・・・課税
  (不動産貸付業)(基通15-1-17)

共同購入で、原価を購入者全員で均等負担した(物品販売業に該当?)・・非課税
  (物品販売業にはあたらない。原価ではなく、利益を得ることを前提とすれば、組合費に充当することを目的にしたとしても物品販売に該当し、収益に課税。
  但し、継続して事業場を設けて営まれるものではないバザー等は非収益事業で非課税)

町内会の娯楽、遊興等の用に供するための会合に集会場を有料で貸した・・・課税
  (席貸業ー基通15-1-38)

上記の収益事業会計における損金算入
人格のない社団である通常の管理組合が、何らかの収益事業で得た資金を管理組合の本来の組合費や修繕事業にあてた・・・・課税(収益事業から非収益事業への寄付金とされ、収益事業の費用にはならず、収益部分に課税されます。)
但し、管理組合法人の場合にはその年度の所得の金額の20%までは損金に算入されることになり、課税されないで管理組合法人の本来の組合費や修繕積み立てにあてることが出来ます。
ただし、その年度に収益事業会計から本来の管理組合会計にその金額の資金の移動をすることが条件です。(基通15-1-7)

修繕積立金ゃ組合費などを預金としていたり、金銭信託、国債などで運用して得た受取利息や受取配当は源泉分離課税を受けますが、別途それに課税されることはありません。
 しかし、収益事業で得た資金の運用益については収益事業による収入として課税されます。この点に関しては管理組合法人であろうと人格のない社団であろうと同様です。

 マンション管理組合の運営上、収益事業に該当することが発生したときにはこれを通常の経理とは別に収益事業会計として経理する必要があります。(法人税法施行令第6条)
 この場合、管理組合固有の財産の取得があったときには、資産及び負債の経理についても非収益事業にかかるものと収益事業にかかるものに区分する必要があります。

2.消費税
 消費税は昭和63年12月30日消費税法が公布・施行され、平成元年4月1日から税率3%で適用され、平成9年4月1日以後の取引きから税率5%(国税4%,地方消費税1%)に引き上げられています。

非法人管理組合、法人管理組合ともに、消費税法3条の規程により、事業者として納税義務者になります。  但し消費税は事業者が事業として行っていることがその前提となり、管理組合収入のうち管理費等及び借入金は不課税(課税対象外)(*1)となり、更に駐車場、駐輪場、ルーフバルコニー、専用庭等の専用使用料のうち、組合員が使用している場合に限り不課税となります。
収益事業に該当し、基準期間(前々事業年度)の課税売上高(*2)が1,000万円以上であることが条件です。(消費税法9条。小規模事業者に係わる納税義務の免除)

都市部の超高層マンションで共有部にテナントをもち、特掲事業の不動産貸付業に該当する例などでは、消費税納税団体の届出も必要な場合があります。
課税事業者である管理会社が管理組合との間で管理委託契約を締結する場合については、建設省通達が出ています。(*3)

(*1)不課税とは、対価性がなく、資産の譲渡等に該当せず課税されないもの。
   会費または入会金のようなものは対価性がないから、不課税とされ、管理組合が雇用する従業員人件費も不課税取引とされています。
   非課税とは、資産の譲渡等のうち、課税しないこととされているもの。
(*2)課税売上高=原則として当該課税期間中に行った課税資産の譲渡等の
   対価の合計額をいい、課されるべき消費税に相当する額を除きます。
   平成15年度税制改正(平成16年4月1日より適用)によって、事業者免税点制度の適用上限が、3,000万円から1,000万円に引き下げられ、店頭表示も総額表示となった。

(*3)建設省通達(平成元年3月8日建設省経動発第22号、建設省住管発第8号)
   定額管理費の表示には、税抜価格、消費税等、合計月額別に明示すること。

3.所得税(給与・報酬の源泉所得税)

 所得税については、所得税法11条1項の「公益法人」としての適用はありません。
 清掃員や管理員を直接雇用契約とした場合、マンションの管理組合は所得税法上は法人とみなされているため源泉徴収義務者となります。
管理組合の役員に、経費の実費弁償とは別に、一定の役員報酬を支払っていたりすれば、改めて雇用契約などを結ばなくとも給与に当たるものと解され、給与所得に対する源泉徴収が必要です。(所得税法第28条第1項第183条)。
経費の実費弁償であることを証明するには、その都度若しくは任期終了時に領収書等を添えて清算する必要があります。

 また、法的手続き依頼に対する弁護士報酬、法人代表理事登記のための司法書士報酬、大規模修繕等のための改修設計や監理を個人事業として行っている設計士や建築士に依頼した場合には、これらのものに対する報酬料金としての源泉徴収義務が生ずることになります。(所得税法第20条)。但し、改修設計や監理に関しては当該業務の契約相手が法人であれば、源泉徴収は、 必要ありません。

決算財務諸表の届け出義務

税法上では、それぞれの設立根拠法で公益法人等にみなされている下記のいわゆる「みなし公益法人」は、国税法人税課税制度の適用において、収益事業を営んでいない限り収支計算書等の決算財務諸表の届け出義務はありません。
 @地方自治法により法人格を得た地縁による団体
 A建物の区分所有に関する法律により法人格を得た管理組合法人
 B政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律により法人格を取得した政党等

*但し地方税の扱いは別になります。(地方税参照)


| 1 | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 2 3 |  4 | 5 | 5.1 | 6.1 | 6.2 | 7.1 | 7.2.1 | 7.2.2 | 7.3 | 7.48.1 | 8.2 |


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