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分析項目と推奨案 : 付録1.推奨政策一覧表
(DETAILED ANALYSIS AND RECOMMENDATIONS :APPENDIX 1: LIST OF RECOMMENDATIONS )

付録1.推奨政策一覧表 目次
1. 消費者保護   2. 財務管理   3. 紛争解決   4. ガバナンス  5. 共同住宅の管理

この頁には、1.消費者保護    2.財務管理      3.紛争解決 まで掲載しています。
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1. 消費者保護 (CONSUMER PROTECTION)

役に立つ情報の提供 (SMARTER DISCLOSURE)

消費者教育:購入者に注意すべき要点を伝えること (EDUCATE BUYERS)

1.

推奨案: 消費者省に読み易い「共同住宅ガイドブック」を作成発行することを提案します。
そこには、共同住宅での生活に関する注意点、例えば、区分所有者の権利と義務、 及び建物設備共用部の保守と維持について、管理組合が管理していくことについての精選された内容を含みます。

このガイドブックは、販売事業者が販売説明時に購入予定者の求めに応じて配布することになります。 共同住宅の住戸販売時は、購入者がこのガイドブックを読む前の契約について、このガイドブックを手渡してから、 10日間のクーリングオフ期間を設けることといたします。

文書をオンラインで提供する (POST DOCUMENTS ONLINE)

2.

推奨案: 分譲業者は分譲計画のウエブサイトを開設し、 開発計画届出書及び関連する文書を掲載しなければならない。 このウエブサイトは管理組合のウエブサイトに変換することができるものとする。

不動産開発宣言書の標準化 (STANDARDIZE THE DECLARATION)

3.

推奨案: 消費者省は、区分所有者にとって修繕やメンテナンスに関係する、 住戸の境界の基本となる定義を作成すべきです。 事業者は、それに幾つかの特有の条件を追加して所有者の責任範囲と責務を明記することは構いません。

このような宣言書の標準化は空き地管理組合の共用部分や工業用、または商業用の共同住宅管理組合には適用しないものとします。

「重要な変更」の明確化 (CLARIFY “MATERIAL CHANGE”)

4.

推奨案: 改正法においては、「重要な変更」の定義の範囲を次のように拡大すべきです。 「区分所有者が支払う共益費の10%以下の変更は「重要な変更」を構成しないものとする。」

5.

推奨案: 「重要な変更」の共同住宅開発計画時における、 課税、徴収費の見積予想額に対する新たな追加、または変更については「重要な変更」から除外するものとし、 最終的には購入者の負担になります。

6.

推奨案: 公開される初年度予算書の計上額は上限として考えるべきですが、 現実にはインフレーションがあり、このインフレーション要素は上記の10%を限度とする「重要な変更」の定義からは除外すべきです。

現況証明書の改善 (IMPROVE STATUS CERTIFICATES )

7.

推奨案: 証明書は、住戸の改修検査(他の定期検査を除いて) が済んでいない場合の管理組合からうける警告、未解決の訴訟係争継続中の保険求償範囲、 ペット飼育に関する管理組合規約規定など、新分野の情報を含めるべきです。

8.

推奨案: 現況証明には、期初の公開情報の写しだけではなく、最新の積立金の要約も含むべきです。

9.

推奨案: 現況証明書の発行費用には、法が改定された以後の最新のインフレーションを考慮して、 消費税(HST)込みで100ドルから125ドルとすべきです。

10

推奨案: 現況証明書の有効期間を設けるべきです。従来はこの期間は10年を超えないものとされてきました。

共有部を取引対象に含める事を禁止
   (PROHIBIT SELLING OR LEASING ASSETS THAT COULD BE COMMON ELEMENTS )

11.

推奨案: 改正法で業者が、管理組合資産である下記の共用部を取引対象に含めることを、 禁止しなければならない。
○ レクリエーション設備
○ ゲストルーム、管理者室、管理事務室、レクリエーション監督室
○ ロビー、階段、サービスルーム、ロッカールーム
○ 暖房、冷房、配管、排水、機械設備、通風設備、電気ガス等のサービス設備その他毎日使用する共同住宅の共用設備

12.

推奨案: 禁止の除外規定は、 居住者の利益に寄与するグリーンエネルギーとして特別に提案されるエネルギー効率化のための装置について、 下記の条件のもとで適用されるべきものとします。
○ 除外される装置は、オンタリオ建築基準法とグリーンエネルギー法2009年法に適合するものとする。
○ 売買及び賃貸契約時に課されるグリーンエネルギー装置の費用は管理組合に対する支払であり、かつ、 管理組合初年度に課される費用であることを、全面的に開示されなければならない。
○ グリーンエネルギー装置設置費用に対するローンの年間支払額は、 第三者が査定した同年のエネルギー削減費用以下に制限されなければならない。

繰り延べ費用 (DEFERRED COSTS)

13.

推奨案: 分譲業者は、 繰り延べされる近い将来の管理運営保守費用は初年度から通常の管理費に含めて加算することとし、 費用の繰り延べは禁止されるべきである。
初年度予算から除外されている同様の事例についても同様とする。

不平等な割り勘 (SUBSIDIZATION)

14.

推奨案: 同一共同建物内にひとつ以上の商業用或いは民泊、 または在宅勤務の住戸がある場合は、それらの住戸の電気・ガス・水道等の料金は、 それらの専用のメータとしなければならない。

15.

推奨案: プールやパーティルームなどの共用施設を、 管理組合の外部関係者または団体に利用させる場合、 組合員における共用施設の利用協定における費用の負担についての条件は明確かつ具体的に実態に応じて規定されなければならない。

利用者別のメータや補助メータを設置するなど、物理的、実用的に可能な方法としなければならない。

技術者や建築士は、同建物を登記する際には同時に、これらの個別のメータが設置されていることを証明しなければならない。

修繕積立金の最低ラインの設定 (MINIMUM CONTRIBUTION TO RESERVE FUND)

16.

推奨案: 修繕積立金の年度ごとの予算は下記の額を上回るものとしなければならない。
) 開発分譲業者が請け負って行った調査結果に基づいた修繕積立金の総計、或いは
) 既存の共同建物で一般的な公式の基準額の総計、但し、建設費を基準にすることが望ましい。

騒音 (NOISE)

17.

推奨案:居住者が静かな環境で静穏に住む権利を正当な権利として認めるための法の改正と、 そのための強制力のある合理的な対策をとることを管理組合の責任とすることを提案する。

2. 財務管理 (FINANCIAL MANAGEMENT)

 

対話と教育・広報 (COMMUNICATION AND EDUCATION)

財務に関する区分所有者の教育と広報 (EDUCATE AND INFORM OWNERS ON FINANCE)

18.

推奨案: 入門的なオンライン講座を提供することを推奨します。 その講座内容は、管理組合の財務諸表の基本から、共益費(特別徴収費を含む)、 及びそれらの財務諸表を閲覧または入手する区分所有者の権利に関するものです。

19.

推奨案: コンドミニアムガイドでは、所有者に対し、 いつでも説明会の開催要求ができることを知らせるべきです。

20.

推奨案: 理事会が管理組合資金の投資計画を公式に承認する際には、 監査人に対して監査報告を請求しなければなりません。

21.

推奨案: 理事会は、管理費会計予算に加えて、 修繕積立金会計からの各事業年度ごとの支出計画を作らなければなりません。

22.

推奨案: 予算額を超える重要な支出が必要となった場合、 理事会は、その作業の必要性を区分所有者に告知しなければなりません。 このような支出は不測の修繕を繰返すことや、計画修繕外の突然の事態による支出を含みます。

23.

推奨案: たとえ区分所有者に、 予算計上額よりも低い額で運営すべきとする要求を採決をもって求める集会の開催を要求する権利があるとしても、 予算外支出についての告知については、区分所有者の承認を要しないとするべきです。
告知に関する新しい要求は、それ自体で十分な透明性を高めるものであり、 それによって、誤解を防ぐのに役立つからです。

24.

推奨案: 告知の義務化は、ある一定の限度額を超えた予算外支出に限るべきです。
専門部会の何人かのメンバーは、その限度額の範囲を予算額の10%以上とすることを提案しました。

共同住宅はその規模によって予算額も大から小まで広がっていることから、一律の基準を設けることを懸念する他の意見もありました。 彼らはスライド式の基準を用いることを提案しました。 最初に10%で始めて、予算規模に合わせて緩やかに比率を下げていくというものです。

専門部会は、総額別の固定金額よりもむしろ予算総額に対するパーセンテージとする相対的尺度の案に同意しました。

25.

推奨案: 年次定期総会資料は区分所有者に対して説明すべき内容でなければなりません。 その説明とは彼ら自身が管理組合方針に従って保険料控除のリスクを負うということです。

区分所有者は下記の場合は直ちに告知されなければなりません。
 (1) 管理組合保険料が増額となったとき、
 (2) 保険の手続きの怠慢や過失によって、理事会が理事と職員の責任を負えなくなったとき

このような告知はまた、なぜ理事会が理事と職員の責任を負えなくなるのかについての説明が必要です。 理事会は年次定期総会資料を有用な教材として用いて、管理組合の、 例えば保険料の引落し額などの重要な情報を告知しなければなりません。

修繕積立金 (RESERVE FUNDS)

修繕積立金を見直すきっかけを作る (SET A TRIGGER FOR UPDATES)

26.

推奨案:現在の積立額が、予想期間内における現時点の目標額の50%以下である場合、 管理組合は今後3年間の更新計画に関する調査報告書の作成を立案者に依頼しなければならない。 この調査報告書は管理組合の公式記録として提出されなければならない。

27.

推奨案: 最初に、以下に示す推奨案の適用する相手は、管理組合の理事会、 その中でも、将来の修繕積立金の計画に当たる人であることに注意しておきたいと思います。

修繕積立金の設定には多くの分析と考察が要求されます。 これらを踏まえて修繕積立金の推奨案は、最初の3年間に設定される徴収額総計の伸び率を除いては、 想定できるインフレーション率よりも大きくない範囲で、 年毎の徴収額総計の伸び率パーセンテージを設定するよう変更することを推奨します。

28.

推奨案: 修繕積立金の毎年の徴収額は下記を超えない範囲に設定されるものとする。
() 修繕積立金総額の検討は分譲開発会社が請け負って設定する。または
() 建設コストを基準にして公式に設定された総額を基準とする。

29.

推奨案:  修繕積立金は例えば車椅子用傾斜路などのような法律に規定された改良工事や修繕工事に対しては、 区分所有者の承認なしに適用可能とされるべきである。

30.

推奨案: グリーンエネルギープロジェクト (装置及び設備のエネルギー効率化の改良工事)に関しては、 修繕積立金を区分所有者の承認を得ることなく適用してもよいものとします。 ただし、これらの装置は省エネルギー試験の公式の判定基準に適合したことを専門技術者が証明した 独立第三者機関の認証があるものを条件とします。

31.

推奨案: グリーンエネルギープロジェクトは、 進める前にその必要性について検討しなければなりません。

この意味は、管理組合は修繕積立金の使途に関して他のすべての装置に便宜を与えることができるほど 余裕があるわけではないからです。

32.

推奨案: グリーンエネルギープロジェクトのコストが高すぎる場合は、 現在の修繕積立金と将来の積立額とを検討したうえで、その結果を反映したものでなければなりません。 このことは、積立金を使うことができる他の工事に関しても同様です。

33.

推奨案: 共同住宅管理組合がグリーンエネルギープロジェクトのエネルギー削減予想値 (このことは、単純回収期間(”simple payback”periodとして知られている)に達しない部分を カバーして追加費用を負担する場合は、その達しない部分の穴埋めの費用以下とすべきです。

管理費会計予算 (OPERATING BUDGETS)

「通知なし」に変更するための判断基準 (EDUCATE AND INFORM OWNERS ON FINANCE)

34.

推奨案: 12ケ月の期間内(月ごと(“any given month”) に対する対照的な表現として)における工事見積り額が3万ドル(約255万円)もしくは年間予算の3%を超えない範囲の工事に関しては、 区分所有者の承認を必要としない。

35.

推奨案: 上記に加えて、この変更の結果、 重要な削減もしくはサービスの廃止につながる場合は、管理組合は区分所有者にその旨通知しなければならない。

重大な変更に関する手続きの変更 (CHANGE PROCEDURE FOR SUBSTANTIAL CHANGE)

36.

推奨案: ()承認を要する工事は工事費予算が年間予算総額の10%以上のものとする。
()承認手続きは現行区分所有者または代理人総数の25%以上の賛成による。

修繕と保守の定義 (DEFINE “REPAIR” AND “MAINTENANCE”)

37.

推奨案: 消費者省は、修繕と保守の定義を明確にする事について主導権を発揮して更に検討していただきたい。
この検討には、各界の専門家グループと、更なる分析と結論を導くための時間を確保していただきたい。

38.

推奨案: 法における保守の定義は、共用部において、 例えば専用使用権を有するバルコニーなどの部分における通常の損耗と劣化に対する区分所有者の責任を除去するよう修正されなければならない。
修繕積立金は、このような部分の修繕に使われるべきである。

39.

推奨案: 管理組合は、区分所有者が専用使用権を有する部分であっても、 すべての共用部の修繕を行わなければならない。

「標準住戸」の定義を整備する (PROVIDE A “STANDARD UNIT” DEFINITION)

40.

推奨案: 標準住戸の用語は州内においてすべての共同住宅に適用されるよう適格に定義されなければならない。 標準住戸は、居室の壁、シーリング、台所などの定着物(fixtures)、作り付けの戸棚(cabinetry)等、 生活可能な住居としての範囲をカバーしたものとして定義されるものとする。

定義の記述内容は保険対象としての住戸の評価に対して適合する必要がある。

41.

推奨案: 標準住戸を管理規約で定義している管理組合が修正するかどうかについては、 それぞれの管理組合の自由とすることが望ましい。 売買契約書付属表の中で定義されている場合、または、規約で定義している場合は、それらが優先されるものとする。

42.

推奨案: この定義は新築及び既存の共同住宅の両方の資産に適用されるべきである。そして、
債権放棄の標準住戸についても同様である。

毀損行為に対する過失責任 (ASSIGN RESPONSIBILITY FOR DAMAGE)

43.

推奨案: 法は共用部または他の住戸に対する区分所有者の責任に基づく損害について、 管理組合の保険求償範囲かどうかに関らず、 その損害回復に要する費用を管理組合が当該区分所有者または居住者から徴収することを規定すべきである。

44.

推奨案: 管理組合が管理規約に上記の推奨案に代わる規定を設けることは禁止されるべきである。

先取り特権の公正な行使 (USE LIENS FAIRLY)

45.

推奨案: 現在では、区分所有者が共益費を滞納したとき、 管理組合から先取り特権の設定に対する差し迫った危険を意味する警告文が最初に送達されます。

この手続き自体は残されるべきですが、しかし、理事会、所有者それぞれが権利を主張する新しい紛争処理機関 (「紛争解決」の章参照)の場で、理事会と区分所有者間における真剣な話し合いが行われ、 そこでの結論が出るまでは、管理組合は、弁護士費用も先取り特権の設定登記にかかる費用も所有者に請求することは凍結されるべきです。

もしも、管理組合の手続きや所有者に対する扱いが正当であることが証明された場合に、 先取り特権の設定登記とその費用の負担を所有者に課すことができる権利は復活する。 管理組合が不当である事を所有者が証明できたときは、文書の費用は管理組合が負担するものとします。

特別賦課金・チャージバック (CHARGE-BACKS)

46.

推奨案: 法は「特別賦課金」(”charge-back”)を関連する用語「例外的対応」 (”exceptional services”)と同様に定義するべきです。イタリアーノ対トロント・スタンダード・コンドミニアムNo.1507[2008] O.JNo. 2642 (Ont. S.C.J.)の判決は、本件を法制化するもとになった裁判です。

剰余金の運用を制限なしに許すこと (ALLOW SURPLUSES)

47.

推奨案: 剰余金の運用は制限され、健全な財務状態は維持されなければならない。

修繕積立金の投資運用 (RESERVE FUND INVESTMENTS)

48.

推奨案: 現在の金融制度では、管理組合の預金には高度の制限が掛けられています。 カナダの他の州を含めた保険会社と金融機関が運用の選択の検討に参加する機会が与えられるべきです。

49.

推奨案: 管理組合がプールしている管理と修繕積立の資金を高利回りが期待できる2つ以上の機関に、 投資運用できるよう検討することは許可されるべきである。

詐欺 (FRAUD)

ピンはね・キックバック・リベート Kickbacks)

50.

推奨案: サービス契約に関する重要な文書、たとえば、予定価格5万ドル以上の、 封をした競争入札の差入書(値札)のようなものは、適正な執行(well-executed)、厳正な入札方式(sealed-bid contract process) の標準的安全策をとらなければならない。

3. 紛争解決 (DISPUTE RESOLUTION)

紛争類型の区分 (IDENTIFY THE TYPES OF DISPUTES)

51.

推奨案: 新たな組織(共同住宅庁と仮称)の創立が望ましい。 この組織には共同住宅関係者へのオンライン、電話、または個人面談による情報提供と助言といった他の機能を含みます。

共同住宅庁の創設 (ESTABLISH A CONDO OFFICE)

52.

推奨案: 共同住宅法において通称、共同住宅庁(Condo Office)と呼ばれる一つの組織を設立すべきである。
新しい組織は共同住宅庁の理事会理事を通して報告を行い、政府から手の届くところで(at arm’s-length from government)運営を行うものとする。

53.

推奨案: 共同住宅庁の他の機能は下記とする
 (1) 共同住宅コミュニティ問題に係る情報の提供と助言を行う
 (2) 新しい紛争処理サービス機関の庁舎と管理者を置く
 (3) 区分所有者、理事、管理者向けの改善促進教育を行う
 (4) 共同住宅紛争のデータの収集と統計の提供を行う
 (5) 管理組合の登録監督制度を創設する
 (6) 共同住宅庁の運営資金を各管理組合から謙虚に・控えめに徴収(modest levy)するための基金を創設する

管理組合対分譲会社の紛争 (CONDO VS. DEVELOPER DISPUTES)

54.

推奨案: 管理組合対分譲会社の紛争は現在の調停、仲介による紛争処理制度は維持しながら、 新しい制度によって迅速、効果的に処理するよう改善することを提案します。

この制度は初年度の予算不足、或いは予算書を巡る管理組合対分譲会社の紛争にのみ 適用されるものとします。欠陥建築を含むその他のすべての紛争は今まで通り裁判に委ねることになります。

共用施設をめぐる紛争 (SHARED FACILITIES DISPUTES)

55.

推奨案: 共用施設紛争の基本的な解決手段として、 法による調停、仲裁の制度は維持しながら、 追加される新しい手続き(次の推奨案参照)によって改善されるべきです。

この事件に巻き込まれたある管理組合では、その関係性を修復する合意には至りませんでした。 改定される共同住宅法は調停、仲裁の制度を法で規定された紛争解決手段として組み込むべきです。
裁判の判決のような強制的な救済策は調停、仲裁の後に適用される制度とすべきです。

管理組合対管理者間の紛争 (CONDO VS. MANAGER DISPUTES)

56.

推奨案: 改定される新共同住宅法においては、 管理組合と管理者間の紛争処理から、調停と仲裁を外すべきです。
例えば、管理者が保管している管理組合の記録文書を管理組合の開示要求に対して不当に抑制した場合は、 最初に共同住宅庁又は裁判所、(又はその両方)が、管理組合が容易に記録文書を閲覧入手できるように 管理者に命じることができるようにするべきです。

他の、例えば、契約外事項に関する意見の相違や、職務怠慢に対する抗議などは通常の裁判によるべきです。

管理組合対区分所有者の紛争 (CONDO VS. OWNER DISPUTES)
迅速な裁定 (The Quick Decision Maker)

57.

推奨案:  迅速裁定庁(仮称)と呼ぶべき特別な機関を共同住宅庁の中に設置することを提案します。
この機関は、管理組合の記録物、チャージバック、代理人、支払い請求、及び区分所有者の議決権に関する 共同住宅紛争に対し、迅速な決定を下す特別の権限を与えられるものとします。

58.

推奨案: 迅速裁定庁(以下すべて仮称)は、当事者の訴える権利を尊重する範囲内で、 単純明快に、利用者にとって友好的に、審理手続きを進めることが期待されます。
また、文書提出命令、請求額の減額、限度内の罰金を課すこと、規定された基準に従って、
所定の費用の支払いを命じること、区分所有者の議決権の裁定を行う権限を有するものとします。

○ 迅速裁定庁を指定して持ち込まれた事件について、規定された範囲内に限り執行権限を有する。

○ 迅速裁定庁の規則では紛争解決を申請した区分所有者は、所定の手数料を納付する義務を負うが、 この規則は、管理組合の共益費に追加することにより実施することができる。
管理組合がこの費用を負うべき事件は、強制的に簡易裁判所(small claims court)への提訴事件の 形式をとるものとする。

○ 非即時命令(Non-monetary orders)は、裁判の判決と同等の強制力を持つものとする。

○ 迅速裁定庁の裁定に対する抗告権については、裁判籍をめぐる事件、法律の解釈をめぐる事件、 訴額が1,500ドル以上の事件に関する抗告は制限される。
迅速裁定庁の裁定に対する抗告は、当該裁定担当官を除いた迅速裁定庁の合議、又は抗告部門に対して 聴聞を申し立てることとする。もし、抗告が不成功に終わった場合は高額の支払いが課される。

○ 迅速裁定庁の運営基金は利用者が支払う料金と、管理組合が支払う共同住宅庁への運営基金から 支払われる。消費者省は、これらが可能となるよう種をまき、一時的な基金を準備しなければならない。

紛争解決庁:(THE DISPUTE RESOLUTION OFFICE)

59.

推奨案:  紛争解決庁(以後 仮称)は共同住宅庁の紛争処理を目的とした第三の機関となるものです。 加えて、情報の提供と迅速な裁定を目的としています。
1〜2時間以内の終結を目指し、可能な限りオンラインでの処理を目標とします。
狙いとするのは下記のとおりです。
(1) 紛争を中立的な評価で早期に解決すること
(2) 和解への支援を行うこと
(3) 事件についての情報を付け加えること
(4) 次の紛争処理への案内をすること

新組織を発展させることを認める (ALLOW THE NEW ORGANIZATION TO EVOLVE)

60.

推奨案: 迅速裁定庁と紛争解決庁は、 その事件の優先順位に焦点をあてて開始されるべきであり、管理組合の管理者と区分所有者がお互いに敬意をもって、 ひとつの大きな家族となって発展させることができるよう、共同住宅庁が柔軟にその運営を行うべきであるとしました。

調停 (MEDIATION)

61.

推奨案: 管理組合対分譲会社間の紛争、 共有設備をめぐる紛争、管理組合対区分所有者間の紛争では、いずれも同様に、 調停は迅速で簡単な手法としての調停と審議日程調整を選択肢として残し改善することを推奨します。 作業部会はまた、管理組合が全体の費用を前もって支払った後に、区分所有者がその費用を分担することも可能としました。

判決は簡単に、仲裁は手早く片付ける (ADJUDICATION BY SIMPLE, EXPEDITED ARBITRATION)

62.

推奨案: 
裁判では個人間の争いに関して判決を下さなければなりません。
法は義務の不履行に対して迅速に経済的な手続きで判決を出すことを規定すべきです。
義務の不履行に対する法的手続きとして仲裁が選択できるものとします。

賃借人紛争 (DISPUTES WITH TENANTS)

63.

推奨案: 賃借人が関係する紛争についての明確かつ確実な方法を考える上で、 基礎となる原則を下記に示します。

 ○ 改定法は、共同住宅コミュニティの区分所有者、賃借人、または区分所有者を含む全居住者
   に適用されるものとします。

 ○ 区分所有者、賃借人、区分所有者の来客を問わず、その住戸を専用使用する者すべては
   管理組合の管理規約、使用細則に従う義務があります。

 ○ 賃借人が、管理組合が管理している管理規約、使用細則に違反したとき、
   その紛争の解決には明確で効果的な手段を必要としています。

費用の負担: (COST RECOVERY FOR PROCEEDING)

64.

推奨案: 管理組合と区分所有者は双方が紛争解決手段を用いたとき、 合理的な費用の負担を相手に求めることができる。
現在においては管理組合だけが損害賠償の請求権利を有しているこの規定は迅速裁定庁、紛争解決庁の処理には適用しないものとする。
敗訴したものが判決により、その費用を支払うものとする。

65.

推奨案: 調停の費用は不要とされる

(2021年8月28日初版掲載・随時更新)
(Initial Publication - 28 August 2021/ Revised Publication -time to time)